アメリカの起業事情!日本との違いや成功率は?アイデアやビザについても解説filterアメリカの起業事情!日本との違いや成功率は?アイデアやビザについても解説

アメリカの起業事情!日本との違いや成功率は?アイデアやビザについても解説

「起業に興味はあるけど、日本ではなくアメリカで起業するのはハードルが高いのかな?アメリカは起業しやすい環境って聞くけど、実際のところどうなのか色々知りたい。」こんな悩みを持つ方に向けて、アメリカの起業事情についてアレコレまとめてみました。

日本で流行るビジネスの中には、アメリカ発祥のものも多くあります。そして、日本よりもアメリカという国柄、起業に対する意識が日本とは異なります。今回は、起業に関するアメリカと日本の違いや、メリットやデメリット、起業する手順なども解説します。アメリカ起業に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

アメリカは起業しやすい国?

Statue of liberty

日本人から見るアメリカでの起業に対するイメージは「アメリカンドリーム」であったり「起業しやすい環境」というものがあります。確かに、アメリカでの起業で大成功を収めている世界的な起業は多くあります。特に飲食業であったり、IT関連の業種が目に付きやすいです。成功すれば世界的な大企業になるのも夢じゃないことから、アメリカンドリームには強烈なイメージがあります。

Silicon valley

それともう1つは「アメリカは起業しやすい環境」というイメージが、日本では定着しています。日本は保守的なイメージがありますが、アメリカは自由の国であり起業に関しても盛んに挑戦しているイメージです。起業のしやすさで言えば、確かにアメリカでは「日本よりも法人設立のハードルが低い」です。ただし、勘違いしてはいけないのが、起業して成功するかは日本もアメリカも難易度は同じということです。あくまで、日本よりも起業しやすい環境であるというだけです。

日本とアメリカの起業意識に対する違い

日本とアメリカの起業意識に対する違いは、確かに存在します。起業に対する理解は、日本よりもアメリカのほうが理解されやすいです。これは文化の違いや考え方によるところが大きいです。日本では「集団を大切にする」「保守的な考え方」を小さい頃から教育されてきたため、起業に対しては消極的な部分があります。

自由の国

一方、アメリカは「個を尊重する」「実力主義」という文化であり、小さい頃から親が子供にビジネスを教えたり投資の授業がおこなわれるほど、ビジネスや投資に関する意識が高いです。そのため、起業に対しても日本よりは積極的な部分があります。もちろん、全ての方がそうではないにしろ、こういった文化や考え方の違いが存在するのは確かです。

日本とアメリカの会社に求めるものの違い

日本では起業したときに、クライアントから求められるのは「信用」が基準になっています。「納期までにしっかり納品されるか」「会社がどこにあって規模はどれくらいか」など、信用ベースということもありスタートアップは、よほどの事業プランがない限りは大きな壁となります。

American culture

アメリカでは起業したときに、クライアントから求められるのは「クオリティ」が基準になっています。もちろん信用も大切ですが、やはり実力主義の国なので、どれだけ商品やサービスが優れているかを見られます。ですから、スタートアップでもクオリティが高ければ認められやすいといえます。ただ、それを売り込んで認めさせるだけの営業力の高さは必要になります。

アメリカで起業するメリット

アメリカで起業するメリットは以下のとおりです。

  • 日本に比べて会社設立や管理費のお金が少なくて済む
  • 大都市以外では生活費や会社の管理費が少ない
  • 良くも悪くも契約社会であり契約さえすれば守られる
  • スモールビジネスへの支援や環境が整っている
  • 実力主義であり性別・年齢など結果を出せば評価され支援や顧客が得られやすい
  • ビジネスプランと起業する本人が良ければVC(ベンチャーキャピタル)や、エンジェル投資家などからの投資が比較的容易に受けられる
  • VCやエンジェル投資家からの投資をしてもらえたら経営のアドバイスをもらえる
  • 商品やサービスなどのクオリティが高ければスモールビジネスでも取引ができる
  • 人口増加が続いているため今後の市場拡大に期待できる
  • しっかりメリットを提示してあげれば優秀な人材を確保しやすい
  • 弁護士やコンサルタントなどの専門家や先輩起業家の数が多いため、相談や支援を受けられやすい環境となっている
  • 赤字でも上場や店頭公開が安く早くおこなえる
  • 特定の地域に特定業種の会社や専門家などが集まっている(ITならシリコンバレーなど)ため、その地域で盛んな業種のビジネスで起業すれば情報や人材などにおいて有利に事業をおこなえる

アメリカで起業するデメリット

アメリカで起業するデメリットは以下のとおりです。

  • 言葉の壁によって、ビジネスをおこなう上での相違によるトラブルや、詐欺行為に巻き込まれる可能性がある
  • 日本とアメリカとのビジネスに対する常識の認識不足から、余計なトラブルや資金・時間などマイナス要素が発生することもある
  • 訴訟大国といわれる国なため、セクハラや差別関連などの問題にシビアであり、最悪の場合は訴えられるケースもある
  • 日本よりも自由で価値観も違うことから、管理が難しく雇ったアメリカ人がすぐにやめてしまうこともある
  • 日本とは違い州が国レベルなため、それぞれの州で決められている税金や法律などが異なるため、起業時やトラブルを対処するときなど対処が大変になる
  • 起業するために渡米しても生活環境などがガラッと変化するため、起業だけではなく生活面でも精神的負担が大きくなる
  • アピールしてナンボのアメリカでは、日本人の「謙虚さ」というものが邪魔になることもある
  • 地域によってはコミュニティに馴染めないことが原因で、起業しても成功できない可能性がある
  • 起業時には就労ビザがもらえないため、アメリカで経営することができない

アメリカでの起業成功率

Golden Gate Bridge

アメリカでも日本と同等に起業の成功率は低いといえます。スタートアップが事業を起こしても毎年25%は倒産していく現実があり、2年後には約70%、4年後には約45%、7年後には約30%の会社が生き残っています。つまり、7年で約70%の企業が消えていくということです。アメリカでは企業が盛んで、多くの起業家が成功しているイメージがありますが、現実はそんなに甘くありません。冒頭でも書きましたが、起業しやすい環境や文化があったとしても、起業後に長期的に成功するのは一握りの企業です。

アメリカで起業する際に必要なビザ

渡米

今回の場合は、日本からアメリカへ渡米して起業するというケースで解説します。起業自体は問題なくできますが、アメリカで起業する際に問題になるのがビザです。ビザが必要な理由としては、アメリカの企業で働く際の給与をもらうために必要になるからです。そして、渡米したばかりの起業家には、このビザが与えられません。現実的な対処法としては以下の3つです。

  • アメリカの企業に就職して永住権を取得後に起業する
  • 3ヶ月はビザなしで滞在可能なため日本に住みつつ一時的にアメリカに行く
  • 他に取得できるビザがないかチェックする(Oビザなど)


補足として、アメリカの企業に就職して就労ビザを得たとしても、起業するとなった場合には新たなビザが必要になります。このときに選択肢として上がるのは「投資家ビザ」「貿易ビザ」です。投資家ビザは資本金として最低20万ドル以上(5000万円程度の50%以上を保有)の出資が必要で、貿易ビザは毎月10万ドルの貿易額が条件となっています。さらに、オフィスを構えていて、しっかり取引されているかも条件に入ります。これらのビザは渡米したばかりの方には厳しいので、上記でご紹介した対処法を検討しましょう。

アメリカで起業する手順と費用

アメリカで起業する手順は、基本的には日本とそれほど変わりません。ここでは下記の7つの流れと設立費用を解説します。

アメリカで起業する人々

1.事業計画書を作る

まずは、どんなビジネスで起業するのかを考えましょう。これは日本で起業するときも同じです。事業計画書は融資や投資を受ける際に必要不可欠であり、これがしっかりしてないとビジネスをスタートさせることが困難になる可能性があります。事業の概要はもちろんのこと、どれくらいの売上が見込めて、将来的な展望はどうかなど、詳細に書いておくといいでしょう。これらが明確になることで、起業後の道標となりますし、融資や投資も受けやすくなります。

2.会社形態を選択する

アメリカでは日本と同じように、会社形態を選択することができます。

Sole Proprietorship

日本でいうところの個人事業主。最も手軽に始めやすい。法人税と所得税の二重課税を回避できる。

Limited Liability Company(LLC)

日本でいうところの有限会社。構成員への責任が有限となっており、法人税と所得税の二重課税も回避できる。スタートアップのような小規模ビジネスを始めるならオススメの形態。

S-Corporation

日本でいう株式会社。法人ながらも法人税と所得税の二重課税回避が可能。ただし、株主はアメリカ在住者と限定されているため、住んでいない日本人はこの形態を選択できない。

C-Corporation

日本でいう株式会社。中~大企業は大概この形態。二重課税回避はできないものの、売却価値が高い。こちらは、アメリカ非居住者であっても株主や取締役になることが可能。

3.どの州で起業するか決める

日本とは違い、アメリカでは州別で手続きに始まり、法律や税金が異なります。ですから、どこで起業するかも重要になります。どこで起業するか悩んだ場合は、税率の低い州を選択するというのが1つです。あとは、すでにアメリカに住んでいるのであれば、よほど税率が高くなければ住んでいる州で起業するのが、手続きをスムーズに進められるでしょう。

4.会社登記の手続きをする

会社登記は各州庁の公式ホームページからオンラインでおこなうことも可能ですし、用紙に記入し郵送して登記できる州もあります。ただ、状況によっては手続きが複雑化することもあるため、全て自分でやるのが面倒であれば、弁護士や会計士などに登記代行をしてもらうことも可能です。

ちなみに、アメリカでビジネスをおこなうなら「ビジネスライセンス」が必要です。レンタルビデオや古着屋など、扱う商品が盗品ではないことを証明するための「ポリスライセンス」や、お酒を扱うなら「リカーライセンス」も必要になります。

5.IRSへ報告する

会社登記が完了すれば、あとは「IRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)」へ報告をしなければいけません。日本でいう国税庁です。EIN(税金納付番号)を取得して、この番号と一緒に報告します。ちなみに、日本でいうマイナンバーのような「SSN」の取得も重要なので、必ず取得しておきましょう。

6.銀行口座開設

IRSでEINを取得すれば、法人口座(ビジネスアカウント)が開設できるようになります。会社のお金として管理するのに役立ちますので作っておきましょう。口座開設に必要なものとして、個人ID・登記承認用紙・EIN・SSNが必要です。口座を開く銀行は、手数料の安さなどを比較して決めるといいでしょう。

7.集客して事業を軌道に乗せる

あとは集客して、売上を上げるために営業などをおこなって、事業を起動に乗せましょう。集客に関しては、自社の商品や強みにマッチするメディアを探して掲載したり、SNSを活用して見込み客に対してアプローチしていきましょう。商品やサービスの属性によっては、YouTubeやTikTokを活用したレビューなども、今や主流になりつつあります。インフルエンサーを起用したり、チャンネルを育てて認知度をアップさせるのも有効です。

必要な費用

必要最低限な費用に関しては、登記費用やビジネスライセンス取得費用など合わせて、約1000~1500ドルあればいいでしょう。この金額は、資本金をどれだけ多くするか、オフィスレンタル費用、州別の税金などによって変わります。

アメリカの起業は夢がある

American dream

アメリカでの起業は、日本とは異なる部分が様々ありますし、英語という言葉の壁も存在します。特にビジネスの現場では、相違が生まれてしまうと起業や起業後の事業にも影響を与えかねません。ですから、事前にアメリカでの起業事情や方法など、細かく理解しておく必要があります。理解しておくことで、スムーズな流れで会社設立できますし、トラブルの早期発見や解決にも繋がります。日本での起業よりも、言葉や制度などの壁はあれど、それ以上に夢があります。当記事で、アメリカでの起業について理解が深まったのであれば幸いです。

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