【国も推奨】職住近接は最高か?メリット・デメリットや事例紹介!filter【国も推奨】職住近接は最高か?メリット・デメリットや事例紹介!

【国も推奨】職住近接は最高か?メリット・デメリットや事例紹介!

「職住近接はメリットがたくさんあって『最高』という意見もあるけど、Withコロナの今、実際のところはどうなんだろう?」「企業にとって、職住近接がどんな影響をもたらすのか知りたい」という悩みをお持ちの方向けに、職住近接についてまとめています。

当記事では、職住近接の基本的な内容から、社員側と企業側それぞれのメリット・デメリット、実際に活用している企業の事例を解説します。職住近接は有効活用することで、生産再アップにつながりますので参考にしてみて下さい。

国も推奨している職住近接とは?

職住近接とは、自宅と会社の距離が近いことを指す言葉です。近年、職住近接が注目されており、国土交通省が推奨していることもあり、導入する企業が増えつつあります。この背景には、都心部の通勤事情が関わっています。高度経済成長期には寮や社宅などを保有する企業がたくさんあり、職住近接は自然とおこなわれていました。ですが、バブル崩壊とともに保有資産を売却したり、都心部の高い家賃が問題となり、郊外へ移り住む人が多くなりました。いわゆる「ドーナツ化現象」のことです。

通勤

ですが、郊外に住み始めてみると「通勤時間の長さ」がネックになります。総務省が発表している「社会生活基本調査」では、神奈川・千葉・埼玉3県の平均通勤時間は「往復で1時間41分」とされています。片道にすれば約50分もの通勤時間です。さらに、多くの方が電車通勤ということもあり、通勤ラッシュ時にはとても座れる状況でも、本を読める状況でもありません。ただただ、満員電車の中で立ちっぱなしで過ごすことになります。時には電車の遅延で遅刻してしまったりと、通勤時のストレスが非常に高くなります。

通勤時のストレス増加は、仕事への悪影響も見られます。会社に着くまでに心身ともに疲れ切ってしまうと、仕事のパフォーマンスやモチベーションが悪くなります。こうした状況を考慮して、国土交通省は「職住近接によって様々な方が、ゆとりある時間や文化などの生活を実現するための環境づくりによって、長時間通勤によるストレス緩和」を推奨しているというわけです。

職住近接は最高?メリット解説(社員)

職住近接を重視することで得られる社員のメリットを、それぞれ解説します。

通勤時間が短縮できる

通勤時間を短縮できます。例えば、郊外から片道1時間かけて通っている方であれば、会社から1駅分(通勤時間10分)の場所に部屋を借りたり、社宅などに住むことにより通勤時間が減ります。この例で言えば、片道50分の通勤時間短縮(往復1時間40分)となり、その時間を自分の時間に当てることができます。電車通勤の場合は、長時間の満員電車から開放されます。車通勤でも長時間運転の疲労から開放されます。通勤時間の短縮は、生産性アップに貢献してくれるでしょう。

心身への負担が減少

通勤時間が短縮されるだけで、長時間通勤の方よりも心身ともに負担が減少します。電車通勤であれば、そのほとんどは立ちっぱなしで過ごすことになります。座っているよりもエネルギーを消費するため、長時間になるほど疲労が溜まりがちです。人が多ければパーソナルスペースを無視した距離感や圧迫感、汗や香水などの匂いなど、人それぞれに違うストレス原因が多くあります。そうした中で、長時間過ごすということは心身への負担が大きくなるのは明白です。職住近接を意識することで、こうした仕事以外の負担を減らせるため、モチベーションやパフォーマンスを維持しやすくなります。さらにWithコロナでは、多くの人と接触せずに通勤できるため、感染対策にもつながります。

プライベートが充実しやすい

職住近接で会社の近くに住むことができれば、プライベートの時間を有意義に過ごすことができます。通勤時間が削減された分、趣味や家族との時間が作れます。さらに、育児や介護などで少しでも早く帰宅したい方にとっても、職住近接は魅力的です。都心部の会社の近くに住むということは、様々なお店やサービスが身近にあります。生活に必要なものが容易に手に入ったり、娯楽なども充実しているため、プライベートが楽しくなり充実するでしょう。

昼休憩を有効活用できる

会社の近くに住めると、昼休憩を自宅で過ごすことが可能になります。徒歩や自転車で移動できる距離なら、お昼に自宅で自炊したものを食べたり、リラックスして休むことができます。会社では自分のデスクや食堂、ちょっとした休憩スペースがある企業は多いですが、リラックスできるかと言われると必ずしもそうではありません。なにかを勉強したいときなど昼休みという限られた時間を活用し、自宅で集中して学ぶことなどもできます。

遅刻・忘れ物にも有効

一般的に徒歩や自転車で出社できる距離なら、それほど遠くないため遅刻する要因も少なくなります。例えば、自宅から会社が遠くて公共交通機関を利用する場合、何かしらのトラブルがあれば遅刻してしまう原因になり、業務が遅れる可能性があります。車通勤では交通事故による渋滞などのリスクがあります。近ければこういったリスクが減ります。さらに、出社後に何か忘れ物をしてしまった際に、すぐに自宅へ取りに行くことができるため、業務への支障を抑えることも可能です。

職住近接のメリット(企業)

職住近接を重視することで得られる企業のメリットを、それぞれ解説します。

採用時のアピールポイントになる

職住近接を意識した福利厚生は、人材採用時にアピールポイントになります。通勤時間を減らしたいと思っている方が多い現状があります。特に、郊外から都心部へ通勤している方は、長時間通勤が当たり前になっており、少しでも会社の近くに住みたいと思っているでしょう。でも、都心部は家賃高いため、なかなか住むことに踏み切れない方も多いです。そこで、企業側が職住近接に関連した福利厚生をアピールすれば、そうした方へアピールすることができます。優秀な人材確保の可能性も高くなるため、採用時にはアピールしたいポイントです。

交通費削減になる

社員が近くに住んで、徒歩や自転車などで通勤する場合は、交通費を削減することができます。交通費を全額負担、または一部を負担している分が削減できるため企業にとっても職住近接はメリットになります。社員数が多く全額負担している場合は、その恩恵も高くなります。特にWithコロナによって業績不振になっている企業や、アフターコロナに向けてより一層コストダウンしたい企業でも、こうした部分のコストカットは少しでもしておきたいところです。

職住近接は最高?デメリット解説(社員)

職住近接にはデメリットもありますので、それぞれ解説します。

近所で職場の人と出会う確率が高くなる

自宅と会社の距離が近いともなれば、同じように近くに住んでいる会社の同僚や上司などと生活圏が同じになるため、プライベートでも出会う確率が高くなります。特に、個人的にあまり好きではない同僚や上司などに、プライベートでリラックスしたいときに出会うと気分的に落ちる方もいるでしょう。社会人である以上は、相手が気づいたら軽く挨拶や会釈くらいしておけば問題ないでしょう。ただ、良好な関係同士であれば、逆に食事や遊びに行きやすいため、人によっては問題ではないかもしれません。

都心部は家賃が高くなる

都心部で会社の近くに住むということは、その分、地方や郊外よりも家賃が高くなります。ドーナツ化現象が起こったのも、地価の高さが影響して家賃も高くなったからという要因があります。通勤は非常に便利になるものの、金銭的負担が大きくなる可能性があります。ただ、企業によっては社員のことを考えて、家賃負担などをおこなっているため、そういった福利厚生のある会社を選択するのも1つの手段です。どうしても今の会社で働く理由があり家賃負担がない場合は、会社に相談してみたり、通勤時間分の空いた時間を活用して副業など収入アップを考えてみましょう。

都心部ならではのストレスもある

郊外から都心部に移り住む場合、郊外ならではの「のどかさ」「静けさ」「人の少なさ」などのメリットがなくなります。会社から近くなるのは魅力的ですが、都心部の「人の多さ」「騒音」「空気の汚れ」など、人が多くなるほどリスクやストレスが上がる要因もあります。ですが、狭い範囲で必要なものを揃えられたり、移動が便利だったり、都心部ならではのメリットもあります。これは人によって変化するので、ご自身で考えてみるといいでしょう。

メリハリを付けるのが難しくなる

自宅と会社との距離が近いと、仕事とプライベートのメリハリが付けづらい可能性があります。これはプライベートな生活圏と仕事の生活圏が近くなるほど、ストレスを感じる方もいるからです。そういった方にとっては、自宅と会社との距離が一定以上離れていたほうが、気持ちの切り替えなどがしやすいこともあるでしょう。特に郊外に住んでいた方ほど生活スタイルが変わってしまいますが、変化に慣れてこればストレスを緩和する方法が見つかる可能性もあります。人は良くも悪くも、変化に慣れていくことができます。

残業が増える可能性がある

近くに住んでいるという理由で、残業をお願いされる場合が増えるかもしれません。郊外から長時間かけて来ている社員よりは、企業側も近所に住んでいる社員の方が負担は少ないと判断する可能性があるからです。さらに、近くであれば突発的な休日出勤などのお願いもしやすくなるため、企業によっては残業が増える可能性があります。ただ、休日出勤や残業で稼ぎたいと思っている方にとっては収入アップにつながるので、人によって問題ではないかもしれません。

周辺環境に不満が出ることもある

会社の近くに住むことで、周辺環境に不満が出るかもしれません。一人暮らしであれば、特に問題は少ないと思いますが、子育てをおこなっている家庭は不便に思うかもしれません。会社の近くに必ずしも、保育所や学校施設などがあるわけではないからです。特に、保育所は都心部ほど定員の関係で、預けづらい状況になりやすいのが現状です。場合によっては探すのに時間がかかったり、見つからないこともあります。ですから、子育て世代の方は周辺環境も考慮しておく必要があります。

職住近接のデメリット(企業)

職住近接を重視することで発生する、企業のデメリットを解説します。

コスト増加の可能性がある

職住近接を意識することは、社員の負担を軽減させることを意識することになります。つまり、職住近接によって会社の近所に住んでもらうことを望む場合、会社周辺の家賃が高ければ社員に大きな金銭的負担がかかります。通勤時間が削減できるとはいえ、金銭的負担も大きなネックになり、会社の近くに住めない方もいます。そんな社員のために家賃補助をおこなうことで、企業にとってはコスト増加につながります。ただし、これによって社員のストレスが緩和され、生産性アップにつながるのであれば必要経費として考えるべきでしょう。

職住近接を意識している企業事例

実際に、職住近接を意識した福利厚生がある企業の事例をご紹介します。

株式会社サイバーエージェント

サイバーエージェントでは「2駅ルール」という福利厚生があります。これは、勤務しているオフィスから2駅以内の正社員に対して、月3万円支給するという制度です。オフィスから近い場所に住んでもらい、社員のモチベーションやパフォーマンスをアップさせるための福利厚生と言えます。

株式会社ZOZO

ZOZOでは「千葉・つくば・宮崎手当」という福利厚生があります。これは、指定エリア内に住む社員に対して毎月3(宮崎)~5(千葉・つくば)万円が支給されるという制度です。社員の負担軽減はもちろんのこと、社員同士の交流を持ちやすくすること、指定エリア内の地域活性化の目的もあります。社員の約7割が使用しているほど、職住近接の需要が高いことがよく分かります。

職住近接を理解して有効活用しよう

ベッドタウン

職住近接は社員に会社の近くに住んでもらうことで、通勤による心身への負担を軽減してもらい、より豊かに生活や仕事に打ち込んでもらおうという目的があります。さらに、企業によっては指定エリアを設けて、そこに社員を住まわせることで地域活性化させる貢献をしています。メリットもあればデメリットもありますが、デメリットは企業や社員によっては、それほどデメリットではない場合もあるでしょう。特にWithコロナでは、通勤時の密を避けることができるため、感染対策としても有効な手段だと言えます。多くの人によっては、職住近接は最高の環境と言えるかもしれません。当記事で職住近接について理解が深まり、有効活用する手助けになれば幸いです。

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