働き方の変化を歴史から見よう!コロナや働き方改革で昔と今はどう違う?filter働き方の変化を歴史から見よう!コロナや働き方改革で昔と今はどう違う?

働き方の変化を歴史から見よう!コロナや働き方改革で昔と今はどう違う?

「働き方は、どのように変化してきたのだろう?昔と今では何が違うのか知りたい。働き方改革やコロナで変化した部分も含めて知りたい」こんな悩みを持つ方向けに、働き方の歴史についてまとめています。
当記事では、働き方の変化を大正から令和までたどり、時代背景とともにどんな変化をしてきたのかを解説しています。時代ごとに要因があり、それを改善するために働き方が変化してきました。働き方の変化を歴史に沿って知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

働き方の変化を歴史で見てみよう

働き方の変化は「時代の要因」によってもたらされてきました。そんな要因を大正~昭和い初期までさかのぼり、それぞれご紹介していきます。

サラリーマンの原型ができた大正時代

サラリーマン

現代においてサラリーマンが、働き方の大半を占めています。さて、このサラリーマンが日本で誕生したのは、どんな背景があるのでしょうか?サラリーマンが日本で誕生したのは1920年代だと言われています。この頃には第一次世界大戦が終わり、日本では1915年から「大正バブル」と呼ばれる好景気に入ります。

この好景気は1920年まで続き、工業生産が急激に拡大していきました。こうした日本の産業構造が変化したことや、明治から大正にかけて近代化してきた背景により、頭脳労働を中心に働くサラリーマンの原型が誕生しました。

そもそも「サラリーマン」とは、どんな成り立ちでできたのか?古代より労働の対価として物々交換がおこなわれており、古代ローマでは「塩(ラテン語でSalarium)」が労働の対価として支払われてきました。当時の塩は非常に高価(大量生産ができず長期保存可能だった)な物であったため、金銭の代わりになっていたということです。サラリーマンの「salary(給料)」は、このラテン語が由来と言われています。

働き方に変化が起きた昭和時代

昭和時代

昭和に入るとサラリーマンの基礎(終身雇用・1日8時間労働・週休2日制」ができあがっていきます。そのきっかけとも言えるのが戦後の高度経済成長期です。

高度経済成長期に生まれた「終身雇用」

今となっては少なくなった「終身雇用」は、第二次世界大戦後の1954年頃から定着したと言われています。理由は2つあります。1つは国による労働党制によって「職場の固定化」が行われたこと。もう1つは、戦後の高度経済成長期にともない企業がライバル企業よりも優位になるため、長期的な人材育成目的で労働力強化を図っていたことが「終身雇用」が生まれた背景です。

1日8時間労働が定着する

現在では定着している「1日8時間労働」ですが、海外の動きに影響を受けています。海外では、長時間労働に不満を持つ人たちが動き、1919年に開催された国際労働機関第1回総会にて「1日8時間・週40時間」が定められたました。ちなみに、この制度をいち早く日本で導入したのは、同年(1919年)に導入した川崎造船所(現在の川崎重工)でした。その後、1947年に日本でも正式に労働基準法で「1日8時間労働」が制定されました。

週休2日制度が導入される

そして現在では一般的な「週休2日制」は、1965年に採用されました。当時の日本では「週休1日制」であり、日曜日だけが休日でした。この週休2日制を日本で初めに導入したのは「松下電器産業(現在のパナソニック)」です。かの有名な創業者の松下幸之助氏によって「一日休養、一日教養」という指針のもと実施されました。この指針の目的は「1日は休養し、もう1日は教養のために取得するもの」であり、2日間まるまる休みということではありませんでした。まさに松下幸之助流の働き方改革といったところです。

働き化が揺らいでいた平成時代

行き交う人々

平成になって数年後、これまでの高度経済成長期が嘘のように一気に弾けました。いわゆる「バブル崩壊」です。こうした背景から、これまでの働き方の有り様が変化していきました。

バブル崩壊で終身雇用が崩れ就職氷河期

1950年代から始まった戦後の高度経済成長期、そして平成初期まで続いた「バブル景気」で、日本中が湧いていました。1980年代後半からは地価が異常なほど伸び、日経平均株価は1989年には39,000円にせまる勢いです。1日8時間制が定着したとはいえ、働くほど給料が増える時代だったため、残業も苦ではないほどでした。サラリーマンでさえ、タクシー通勤という余裕のある生活が当たり前だったのです。しかし、バブル景気は崩壊しました。

平成に年号が変わってから2年後の1990年から、バブル景気が弾け始めました。要因は様々ですが「湾岸戦争」「公定歩合の急激な引き上げ」「原油価格高騰」などが起こりました。1989年の日経平均株価が39,000円にせまる勢いだったのが、翌年の1990年には一気に暴落します。そして同年10月には一時20,000円割れと、どんどん景気悪化が続きました。こうしたバブル崩壊の影響で、これまで調子の良かった企業が次々に倒産し「就職氷河期」が到来しました。さらに1998年移行からは、これまで絶対的だった「終身雇用」神話が崩壊していきます。

ブラック企業が生まれ過労死も増える

2000年代に入ると「ブラック企業」と呼ばれる、労働基準法などの法律を無視し、社員を使い潰すような過酷な環境を強いる企業が現れます。これは当然のことながら社会問題となりました。元々は巨大掲示板「2ちゃんねる」内で生まれた言葉であり、学生には勧められない企業のブラックリストが関係者からリークされました。ここから、ブラック企業という言葉が一部で認知されるようになりました。

2008年には「ブラック会社に勤めてるんだが、俺はもう限界かもしれない」という、2ちゃんねるのスレッドの書き込みを元にした、書籍が発売されます。2009年には人気に火がついて映画化され、2013年には「ブラック企業」が新語・流行語大賞を受賞するなど、一般的にも広く認知されるようになりました。

不景気を背景にしたブラック企業などが増加したことにより、労働者に対する負担(長時間労働や過酷な環境によるダメージ)は急激に増えていきます。この結果、過度なストレスや疲労が原因で過労死も増えていきました。バブル崩壊後の1994年から過労死認定の件数が増加していきます。1994年には32件だったのに対し、1995年以降は70~90件と2倍以上に増加しています。そして2000年代に入り、300件超えの年が続くほど過酷な労働環境が多い時代でした。

日本の有給消化率は低い

さらに「日本人は働き過ぎ」だと世界から言われている背景に、有給消化率が低いことも挙げられます。日本では1947年に労働基準法で有給休暇が導入され、労働日5日に対して有給休暇の最低付与数が6日、1998年には10日に引き上げられました。そんな有給休暇ですが、日本では取得率が低いことも問題視されてきました。

ブラジルやスペインにおいては100%、フランスや香港は90%台、アメリカやオーストラリアなどは70%以上に対して、日本は50%ほどしかありません。世界各国と比べると日本の有給消化率が低いことがよく分かります。理由は様々あります。大きな理由としては「人手不足で有給が取得できない」や「社内で自分だけ有給休暇を取得すると周りの目が気になる」などです。企業の人手不足問題は、企業が解決する問題として取り組んでいかなければいけません。

ただ「周りの目が気になるから」というのは、日本特有のものです。日本人は集団を重んじる傾向にあり「周りが休んでいないのに自分だけは・・・」という思いを持つ方は多いでしょう。残業にしろ「上司が残っているから」などの理由で、残業する必要が無くてもしてしまったりします。会社の効率化が進んでおらず、仕方なく残業を強いられる環境もあるでしょう。頑張り過ぎてしまうからこそ、有給消化率も低くなってしまい、過労死も増加してしまう皮肉な現実が日本にはあります。

働き方改革が打ち出される

こうした労働環境の悪化以外にも問題視されているのが「少子高齢化問題」です。生産年齢人口(15~64歳)までの人口は、2010年をピークに減少し続ける傾向にあると予測されています。生産年齢人口が減少するということは、深刻な人手不足になり生産性や労働環境の悪化が懸念されます。ただでさえ日本は「働き過ぎ」という環境ですから、なんとかして働き方を改善して生産性を高め続けるには、個人の負担を減らす必要があります。

そこで政府は2019年に「働き方改革」を打ち出しました。働き方改革には複数の目的があります。「長時間労働の是正」「多様で柔軟な働き方の実現」「雇用形態に関わらない公平な待遇の確保」などです。それぞれ解説していきます。

長時間労働の是正

これまで日本では残業自体世界的に見ても多かった上に、営業職やサービス業にみられる「みなし残業」「サービス残業」といった、長時間労働が問題視されてきました。有給消化率の低さも合わせれば、労働環境は良くないことが分かります。長時間労働を減らすことで、ストレスや疲労を和らげる目的があります。このため時間外労働の上限を月45時間とし、年間で360時間を原則としています。何かしらの特別な理由がある場合に限り、月100時間未満で年間720時間と定められています。さらに、有給休暇は年10日間付与されている場合には、年間5日間の有給休暇取得を法律で義務付けられました。

多様で柔軟な働き方の実現

これまでは1日8時間勤務が当たり前で、仕事は会社に出勤しておこなうものでした。ですが、個人個人に合わせた多様で柔軟な働き方を推奨することで、より生産性が高まったり、ストレスや疲労緩和につながるため実施されています。フレックスタイム制や時短勤務もその一環です。フレックスタイム制では、月の総労働時間さえクリアできれば、仕事をする時間は自分で調整できます。コアタイム(必ず出社する時間)を設定している企業もありますが、自由度の高い働き方です。時短勤務に関しても、子育てや介護などの時間を確保できるように短時間勤務を導入している企業もあります。

さらに、これまではタブーだった「副業」に対する考え方も変化しました。本業だけではなく、副業もおこなうことで本業以外の収入確保や、スキルアップにも役立つため増えています。副業禁止だった企業も副業を認める流れになっており、より自由度の高い働き方ができるようになっています。

雇用形態に関わらない公平な待遇の確保

これまでは雇用形態による格差が問題視されており、不満を持つ方も多かったため、働き方改革の一環として改善を打ち出しました。正社員のような正規雇用の待遇と、派遣社員やアルバイトなどの非正規雇用の待遇を、できる限り公平にしていこうという改革です。その1つが「同一労働同一賃金」です。これは仕事内容が同じであれば、正規・非正規関係なく同じ賃金を支払うというものです。実際に2021年4月に「短時間労働者および有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」が全ての企業に適用されました。こうした取り組みのおかげもあり、公平な待遇が確立されつつあります。

ウィズコロナで働き方が変化した令和時代

リモートワークでZoom会議をする様子

令和に入り世界的に大流行したコロナウイルスにより、働き方はさらに大きく変化しました。濃厚接触を避けるために「テレワーク」の重要性が認知され、自宅やサテライトオフィスにいながらも仕事がおこなえる環境を、推奨する企業が増えています。テレワークが普及する以前にも「ノマドワーカー」と呼ばれる、場所にとらわれない働き方をしている方がいますが、限られた方のみでした。テレワークが広まったことにより、さらに自由度の高い働き方が定着しつつあり、ストレスや疲労緩和にもつながっています。

時代の変化に合わせた働き方を考えてみよう

働き方の変化は、高度経済成長に始まりバブル景気と崩壊、過労死の増加や働き方改革など、良くも悪くも変化してきました。現在はコロナ禍でテレワークが普及していますが、アフターコロナではどのような働き方が普及するのでしょうか。引き続きテレワークを続ける企業が多いのでしょうか。終息してみないことには分かりませんが、確実に働き方の自由度は上がってきています。これからはAIが普及してくる時代で、AIができる仕事に関して人は必要なくなると言われています。今後の時代の変化に合わせて、どんな働き方ができるのか考えてみるのもいいかもしれません。当記事で働き方の変化について、ためになったのであれば幸いです。

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