【事例あり】働き方の多様性に求められる背景やメリット・デメリット解説filter【事例あり】働き方の多様性に求められる背景やメリット・デメリット解説

【事例あり】働き方の多様性に求められる背景やメリット・デメリット解説

「働き方が多様化しているけど、どんなきっかけなんだろう?実際に多様化したメリットやデメリット、企業の事例などを知りたい」こんな悩みを持つ方向けに、働き方の多様化について分かりやすくまとめてみました。
当記事では、働き方がなぜ多様化されているのかという背景から、メリット・デメリット、企業が導入している実例など解説しています。働き方の多様性は今後も変化していくと思われるので、参考にしてみてください。

働き方に多様性が求められる背景

現在は働き方に多様性が求められるようになりました。特に2000年以降は、長時間労働や過労死、さらに生産労働人口の減少など様々な問題が日本に起きているからです。このままでは、日本の生産性が下がってしまうため、働き方が見直されてきました。その一環として政府が大きく打ち出したのは「働き方改革」でした。

人混み

過酷な環境で働くことや、限定された働き方は生産性を下げる傾向にあります。頑張りすぎる日本人だからこそ、余計に歯止めが効かなくなることもあります。ですから、労働環境の大幅な改善や限定されない働き方の多様性は、結果的に日本全体の生産性を高めるることに貢献してくれます。より良い環境を整備することは、企業にとっても従業員にとってもプラスになることが認知され、現在進行系で取り組んでいます。

さらに2020年に発見されたコロナウィルスの蔓延です。世界的に流行したことで、あらゆるものが変化せざる負えなくなりました。感染が止まらない状況下で、人との接触を避けるため働き方の多様性が重要視されるようになりました。オンラインツールを使用した「テレワーク」が注目され、在宅やサテライトオフィスなど場所を限定しない働き方が増えています。

働き方の多様性は根付いていく可能性が高い


働き方の多様性

働き方の多様性は、今後も根付いていくでしょう。多様性が求められる背景でも解説したとおり、これまでの働き方では生産性が下がってしまうことや、コロナ禍の働き方が定着していく可能性が高いからです。そのため、働き方の多様性は今後も根付いていくでしょう。では、こうした働き方の多様性が広がることで、得られる具体的なメリットやデメリットはなにがあるでしょうか?それぞれ解説します。

働き方の多様性によるメリット

メリットは「勤務時間改善」「人材確保」「コストカット」が挙げられます。

勤務時間の改善と人材確保(生産性向上)

これまで多くの企業が9~18時のように固定化された時間で勤務していました。ですが、全員がこの固定化された時間で、同じ生産性を上げられるのかは分かりません。さらに、多くの企業で時間が固定化されるということは、出勤も多くの人と同じになります。出社する前から疲れてしまうこともあるでしょう。

こうした働く時間を、個人に合わせて変更できるように「フレックスタイム制」や「短時間勤務制度」などが根付いてきました。フレックスタイム制では、あらかじめ決められている就業時間をクリアすれば、何時に出社して退社してもいいという制度です。個人のパフォーマンスが上がる時間帯を活用できます。さらに、通勤ラッシュを避けられるメリットもあり生産性が向上します。コアタイムという「必ず出社すべき時間帯」を設定していることが多いものの、必要最低限である場合が多いのでストレスにもなりづらいです。

短時間勤務も同様に、個人に合わせた働き方です。原則1日6時間の勤務で、主に子育て世代(企業により子供の対象年齢は違う)や介護をおこなっている方向けです。時間が1日8時間と固定化されていると、フルタイムでの仕事が終わった後に、子育てや介護もしていくとなると負担が大きくなります。こうしたストレスや疲労緩和に貢献してくれる制度です。

こうした制度があれば、これまで働くことが難しかった人材や、自分に合う時間で生産性を上げて仕事ができる人材を確保することが可能になります。勤務時間が改善され、従業員の負担を緩和し人材確保できるようになれば、企業は生産性向上に期待できます。

コストカット

これまでのサラリーマンは「仕事は会社に出社してするもの」という時代でしたが、働く場所にも多様性が見られるようになりました。サテライトオフィスの活用や、自宅でも仕事ができるテレワークを導入する企業が増えているため、場所にとらわれない働き方ができるようになりました。場所を限定しない働き方は、通勤の時間やストレス、疲労緩和につながり、より生産性を高めてくれる役割を持っています。

これらを実施すると、さらにメリットがあります。オフィスを利用する従業員の数が減ります。テレワーク導入であれば、交通費やオフィスの水道光熱費などが削減できます。テレワークが増えればオフィス縮小化も検討でき、家賃節約などのコストカットが実現する可能性もあります。そして、サテライトオフィスは家賃の安いレンタルオフィスを活用すればコストカットにつながります。

働き方の多様性によるデメリット

上記のようなメリットがある一方で「仕組み化に時間がかかる」「管理職の負担増加」「部分的な業務効率低下」といったデメリットもあります。

定着に時間がかかる

テレワークやサテライトオフィス勤務など、多様性のある働き方を定着させるには、それなりの時間がかかります。特に、これまで積極的に取り組んでこなかった企業からすれば、どのように定着していけば生産性を上げられるか悩むかもしれません。まずは働き方の多様性を理解し、どんな制度が自社や従業員にとって必要なのか検討する必要があります。そして、実際にそれを実施しながら、課題を見つけていき改善を繰り返しながら定着させていくしかありません。

管理職の負担増加の可能性

働き方に多様性が出てくると、管理職はより従業員の管理に目を配る必要があります。例えば、テレワークを導入してチームで作業を進める場合には、それぞれのスケジュール管理や進行状況把握など、これまで以上におこなう必要が出てくるかもしれません。それぞれが、同じオフィス内で仕事をしているわけではなく、他の従業員の状況を把握しづらいからです。さらに、微妙なすれ違いによる仕事の遅れが、管理職に負担になる場合もあるでしょう。ですから、より業務効率化を図るためにも、管理職はこれまで以上に管理を強化しておくことが大切です。

部分的な業務効率低下

職種や制度によっては、部分的に業務効率が低下する可能性があります。例えば、チームで進める作業が多い職種の場合、テレワーク制度が導入されたとします。この場合は、オンラインでのやり取りが増えるわけですが、オフィスに居る頃よりは気軽に相談したりすることがしづらい可能性があります。実際に近くに居るわけではないので、相手が席を外していたり、気付かない場合は作業効率が低下することもあるでしょう。それが、緊急を要する業務であれば尚更です。やり取りが多い職種ほど、業務効率がに支障をきたす恐れがあるため、事前の打ち合わせやスケジュール把握は重要です。

【具体例】多様性のある働き方を導入している日本の企業

日本のビル群

政府が打ち出した「働き方改革」やコロナの影響により、日本の企業もこれまでとは違う働き方を導入しています。下記では実際に導入した事例をご紹介します。

Calbee(カルビー)

食品関連事業をおこなっているCalbeeでは、次のような取り組みをしています。フリーアドレス制を設けて、「ソロ席(仕切りがある)」「集中席(さらに集中できる)」「コミュニケーション席(4人掛け)」の3種類から自由に選択できます。フレックスタイム制も導入され、コアタイム(10時~15時)以外は、自由に出社退社が可能です。自宅や近所のカフェなど、その日の業務によって働く場所を選択できるモバイルワーク制度や、役職名で呼ばない文化(CEOなどの役員も〇〇さんで統一)もあります個々のライフワークバランスを考えたり、個人の考え方や成し遂げてきた内容などを尊重しています。

SonicGarden(ソニックガーデン)

ソフトウェア開発事業をおこなっているSonicGardenでは、次のような取り組みをしています。オフィスを持たない会社を実現するために、全従業員テレワーク化を実施しています。面倒な事前申請が必要なく、理由や利用制限もないため、それぞれが各々のライフワークバランスを保ちつつ生き生きと働いています。全従業員テレワーク化を実現するために独自のシステムであるRemottyを開発し、テレワークの弱点であるコミュニケーションがスムーズにおこなえる環境の整備をしています。さらに、テレワーク経験を元にテレワーク情報発信メディアを運営し、情報共有もかかさない工夫がされています。

RECRUIT(リクルート)

採用サービス事業をおこなっているRECRUITでは、次のような取り組みをしています。近年のグローバル化や少子高齢化による生産年齢人口の減少などを見据えて、上限日数を限定しない全従業員を対象としたリモートワークを導入しています。本人の希望と会社の同意があれば、雇用形態に関係なくおこなえます。社内で決められたリモートワーク規定を守るのであれば、個人が場所にとらわれず自由な時間に働ける環境を構築しています。健康や安全、生産性向上、モチベーション維持などの効果があります。さらに、コミュニケーションアップやイノベーションの創造を図る目的で、オフィス内にフリーアドレスエリアを設けています。

ZOZO(ゾゾ)

ファッション通販事業をおこなっているZOZOでは、次のような取り組みをしています。千葉市近郊に住むことで5万円が支給される制度で、通勤時間や負担を削減させたり、スタッフとの交流を持ちやすくするという目的があります。ペットや介護などのサポートを必要とする家族がいる場合には、1日最大2時間の時短制度である家族時短も設けています。その他、部署ごとにコアタイムが決められるフレックスタイムや、育児や産休に関する制度、有給休暇に関する制度などを整備し、従業員がより良い働き方がおこなえるように力を入れています。

TANITA(タニタ)

健康関連事業をおこなっているTANITAでは、次のような取り組みをしています。従業員を従業員としてではなく、フリーランス(個人事業主)として業務委託契約するというプロジェクトがおこなわれています。時間や場所にとらわれない、自由度の高い働き方を推奨することで、個人の自立心や成長を促す目的で導入しています。このプロジェクトは強制するものではなく、選択できる自由を与えています。実際にフリーランス化した方は約3割ほど手取りがアップしたといいます。さらにフリーランスを支えるための「タニタ共栄会」という制度を作り、社員時代と同じ設備を使えて、税務面でのサポートも受けられるようにしています。

Benesse(ベネッセコーポレーション)

教育関連事業をおこなっているBenesseでは、次のような取り組みをしています。育児休暇の推奨や時短勤務を10年以上導入し、限られた時間内での生産性を高める目的があります。残業時間を月残業時間を減らすために無理な目標設定をせず「1日9分」といった小さな目標を設定し達成するとともに、事業部門ごとにノー残業デーを週1~2回設けたり、有給休暇取得を促進しています。さらに、一定のグレード以上の従業員を対象に、通勤時間をなくすことを目的とした在宅勤務を導入するなどして、多様性のある働き方をおこなっています。

トヨタ紡織

自動車関連事業をおこなっているトヨタ紡織では、次のような取り組みをしています。個人の能力を最大限に活かすため、工場内の環境整備を整えたり、子育て世代の女性に向けた働きやすいラインの導入などの環境整備をしてきました。フレックスタイムにおいてはコア時間をなくす「コアレス化」などのルール、IT環境の整備も同時におこなっています。2019年からはテレワーク制度を導入しました。従業員は会社から貸与されたPCで、社外(自宅などの外部の環境)でも勤務できるようにしています。こうすることで、樹有業員の満足度アップや、通勤時間などの移動時間の削減による業務効率化を図っています。

働き方の多様性を理解して今後に備えよう

新しいワークスタイル

時代ごとに変化する働き方は、今後も何かが要因となり多様性を求められる時期がくるでしょう。これまでの常識が通じなくなったとき、いち早くその変化に対応できるかで企業は生き残れるかの分岐点になるといっても過言ではありません。従業員も多様性のある働き方が選択できる時代ですから、より効率よく結果を残せるワークスタイルを把握しておくと今後に役立つでしょう。今のうちに働き方の多様性を理解して、今後にやってくる見えない変化に備えておくことがベストです。当記事で、働き方の多様性について理解していただけたなら幸いです。

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