スタートアップ企業のメリットやベンチャー企業との違いなど解説filterスタートアップ企業のメリットやベンチャー企業との違いなど解説

スタートアップ企業のメリットやベンチャー企業との違いなど解説

「スタートアップ企業って、どんな企業なんだろう?」
「将来的に起業したいと思っているから、基本的な部分から知りたい」
こんな悩みを持つ方向けに、スタートアップ企業についてまとめています。

当記事では、スタートアップ企業の基本的な部分から、ベンチャー企業との違い、メリット・デメリット、成長ステージ、資金調達方法、実例を解説します。
スタートアップ企業はリスクが高いものの、成功すれば大きなリターンが得られますので、ぜひ参考にしてみてください。

スタートアップ企業とは?

計画が書き込まれたノート

スタートアップ企業とは、日本において「世の中に役立つ新しいビジネスモデルを作る企業」というイメージが定着しています。
直訳すると「起動・始動」という意味があります。
ただし、明確な定義があるわけではありませんが、起業後、数年以内の企業を指すこともあります。
言葉自体はアメリカのシリコンバレーで生まれたとされ、アメリカでは一般的に使われており、日本には2010年頃から普及し始めました。
特徴は「短期間で急成長する」ことが挙げられます。
実際に、起業後の数年以内に株式上場したスタートアップ企業も多いです。

スタートアップ企業とベンチャー企業との違い

スタートアップ企業とベンチャー企業の違いは、「ビジネスモデル」と「ゴール」にあります。
スタートアップ企業は「新たなビジネスモデルを構築」していきますが、ベンチャー企業は「既存のビジネスモデルを発展・加速させる」という部分で異なります。
達成目標についてスタートアップ企業では「短期間で急成長させ事業をバイアウトする」という目標が多いのに対し、ベンチャー企業では「ビジネスモデルを中長期的に成長させる」という目標であり、目指すゴール設定が異なります。
さらに、ベンチャー企業は、スタートアップ企業が成長して安定期に入った時期以降に、ベンチャー企業として認識されることもあります。

スタートアップ企業のメリット

スタートアップ企業には、様々なメリットがあります。今回は「経営者」「社員」それぞれの目線から解説します。

経営者目線

経営者目線でのメリットを解説します。

やりがいが大きい

新たな事業を創造するのが、スタートアップ企業です。
何をするにも「0→1」にするのが最も大変な部分であるため、これが形になり世の中に広まり、多くの方の役に立つ事業へ成長するのは素晴らしいことです。
既存のビジネスモデルや常識にとらわれることなく、0から作り上げていくのは非常にやりがいがあります。

大きなリターンを得る可能性がある

スタートアップ企業の特徴は「短期間で急成長する」ことが多いです。
新しいビジネスモデルは認知されるまでに時間がかかるものの、必要性を認知してもらうことができれば、一気に加速していきます。
数年以内に株式上場させることも現実的に可能であり、上場後の株価は大きく跳ね上がります。
株式を持っているだけでも大きなリターンを得られますが、上場後にバイアウトさせることで数億~数十億円単位の金額が手に入ることもあります。

短期間で急成長が期待できる

上記で解説したように、事業自体が急成長することも挙げられますが、それ以上に経営者としての経験値が跳ね上がります。
金額的な面でも大きなリターンを得ることができますが、事業を作り上げて成功させる経験は、とても貴重なものです。
もちろん成功ばかりではなく失敗も多いでしょう。
ですが、この失敗も貴重な経験です。
失敗するということは、何かしら改善すべき点があることを気付かせてくれます。
繰り返すことで、経営者として急成長することが期待できます。

社員目線

社員目線でのメリットを解説します。

仕事の裁量が大きく成長しやすい

植物が成長している様子

スタートアップ企業は、常に優秀な人材を求めています。
求められる能力が高いため優秀な方が採用されることが多く、それぞれに与えられる裁量が大きくなるでしょう。
裁量が大きくなるということは、事業を自身の力で動かしているというモチベーションアップにつながります。
さらに、スピード感のある職場や求められる結果のレベルも高いため、しっかり仕事をこなしていけば急成長することが可能になります。

多様性のある働き方をしやすい

革新的な事業をおこなう企業は、働き方も柔軟で自由度が高い傾向にあります。
より生産性をアップさせられるかを追求しているため、効果的な働き方を柔軟に取り入れている企業が多いです。
テレワーク・フレックスタイム制・時短勤務など、多様性のある働き方を導入している企業が多いため、働きやすさを感じることができるでしょう。

株式上場で大きなリターンを得る可能性あり

就職したスタートアップ企業に、ストックオプション制度(新株予約権の一種で、取締役や社員が予め定められた価格で株式を購入できる権利)があれば、将来的に大きなリターンを得られる可能性があります。
スタートアップ企業は短期間で急成長するため、株式上場して株価が跳ね上がったあとに売却することで、購入時の価格よりも高く売却できる(購入価格により変動する)ためリターンを得ることができます。

スタートアップ企業のデメリット

スタートアップ企業には、様々なデメリットもあります。
こちらも「経営者」「社員」それぞれの目線から解説します。

経営者目線

経営者目線でのデメリットを解説します。

倒産のリスクが非常に高い

既存の事業内容で起業した場合、5年後の倒産率は一般的に60%ほどと言われています。
ベンチャー企業ともなれば、5年後の倒産率は85%ほどにまで高くなります。
スタートアップ企業の倒産率は、3年後ですら92%ほどとなっているため、非常にリスクが高いのがお分かりでしょう。
何事も「0→1」を作り上げるのは容易なことではないため、リスクが高いのは当然と言えるため、このことを認識した上で「生き残るために何をすべきか」が重要です。

心身の疲労やストレスが大きい

上記でも解説したとおり、スタートアップ企業は少人数で新しいビジネスモデルに挑戦するため、事業が軌道に乗るまでには想像を絶する、心身の疲労やストレスを抱えることになるでしょう。
仕事量が多くなって残業しがちになり、経験したことない失敗なども繰り返すこともあります。
その都度、心が折れそうになったり、体調不良になることも覚悟しておかなければいけません。
ですが、そうした苦労を乗り越えて形になれば、全てが笑い話になるほどのリターンを得られる可能性があります。

借金を抱える可能性がある

空になった財布

事業内容によっては、多額の資金が必要になります。
自己資金で用意できない場合、資金を借りるしかありません。
返済義務がある借入金であれば、倒産リスクが高いだけあって借金を抱える可能性が高くなります。
金額が大きくなるほど、倒産時の借金が増えてしまいます。
自己破産などの債務整理をする手もありますが、返済義務のない資金調達方法を知っておくと借金の不安を解消できるでしょう。
資金調達については後ほど解説します。

社員目線

社員目線でのデメリットを解説します。

安定していない

革新的なビジネスモデルを形にしようとするのは、非常に不安定な状態が続きます。
社員にとっては、給料・休日・社会保険・福利厚生などの職場環境が安定するまで時間がかかります。
「安定していない=倒産リスクが高い」ということでもあり、将来的な不安も大きいでしょう。
ですが、そういったリスクがあるからこそ、それに見合った「やりがい」「リターン」「成長」などがあります。
スタートアップ企業で「何を実現させ、何を得たいのか」を、じっくり考えてみるといいでしょう。

残業が多くなる可能性あり

起業したばかりであり、コスト的に人材を増やすことが難しいため、1人の仕事量は増える傾向にあります。
事業や職場環境が安定していないこともあり、残業が多くなるケースが多いのが特徴です。
ですが、スタートアップ企業は「成長スピードが早い」特徴があるため、事業の成長度合いによっては人材にコストがかけられるようになります。
そうなれば、1人あたりの仕事量が分散されて、残業が減っていくでしょう。

雑務が多くなる

起業したばかりの時期は利益がないため、人件費がかけられません。
そのため、メイン業務以外の雑務を補うために、1人あたりの担当する業務範囲が広くなる可能性があります。
雑務が多くなることで、メイン業務に専念できずに生産性が低下する恐れがあるため、いかに1人あたりの負担を早期に減らせるかがポイントになります。
一番と言っていいほど大変な時期ではありますが、その分、一般的な企業よりも経験値がグンとアップしやすくなります。

スタートアップ企業の資金調達方法

スタートアップ企業は、一般企業とは異なり「信用」と「実績」がありません。
ですから、銀行では資金調達がしづらいため、適している資金調達方法を解説します。

エンジェル投資家

コインを積み上げている

エンジェル投資家は、個人でスタートアップ企業やベンチャー企業に投資する投資家です。
革新的なビジネスモデルであったり、面白みを感じてくれたら投資してくれることがあるため、スタートアップ企業には適している資金調達方法です。
投資する代わりに株式を取得し、投資したスタートアップ企業が上場することで得られる利益を狙います。
しかも、返済義務がないのが最大のメリットです。
紹介やピッチコンテストなどで知り合うことができます。

VC(ベンチャーキャピタル)

VC(ベンチャーキャピタル)は、法人としてスタートアップ企業やベンチャー企業に投資する投資会社です。
返済義務がない代わりに、株式の何割かを取得します。
投資したスタートアップ企業が、株式上場することで得られる株価の値上がりで、投資金の回収や利益を狙います。
紹介やピッチコンテスト、マッチングサービスなどでつながることができます。

国や地方自治体の補助金・助成金

国や地方自治体では、スタートアップ企業やベンチャー企業向けに、補助金や助成金を設けて支援しています。
日本政策金融公庫の新創業融資制度、信用保証協会保証付融資、キャリアアップ助成金、地域中小企業応援ファンド、小規模事業者持続化補助金などあります。
それぞれ条件や融資金額などが異なりますので、自社の現状に合った制度を活用してみることをオススメします。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、専門サイトにて新商品や新サービスなどをPRし、必要な費用を不特定多数から支援してもらう方法です。
支援金額や内容によってリターンも変化します。
実際にクラウドファンディングを開始するまでには事前準備が重要であり、素人が何の知識もなくやっても成功率は低いです。
クラウドファンディングの経験や知識が豊富な、プロのアドバイスを参考にしながら進めると成功しやすいでしょう。

ファクタリング

ファクタリングは、売掛債権を現金で買い取ることで資金調達する方法です。
通常は売上があっても短期間での現金化はできないですが、ファクタリングは資金調達スピードが早いのが特徴です。
ただし、比較的高めな手数料を差し引かれることや、取引先に知られると関係性が悪化する可能性があるなどのデメリットもあるため、慎重に検討すべき資金調達方法です。

スタートアップ企業の実例

スタートアップ企業の実例を解説します。

メルカリ株式会社

メルカリ株式会社は、フリマ(フリーマーケット)アプリ「メルカリ」を運営している企業です。
2012年に起業してから、6年後の2018年にはマザーズへ株式上場しています。
その際の時価総額は、なんと約7000億円以上でした。
資金調達メインとなるファイナンスグループを8名の少数精鋭で立ち上げ、総額80億円を超える大型の資金調達に成功しています。
今やメルカリはフリマアプリの大手であり、急成長を遂げたスタートアップ起業の成功例と言えるでしょう。

スマートニュース株式会社

スマートニュース株式会社は、ニュースアプリ「Smart News」を運営している企業です。
上場はしていないものの、2021年には250億円を超える資金調達に成功しており、これまでの総額は440億円超えとなっています。
2020年には「コロナ特設チャンネル」を作ったことで、日本のみならず米国ユーザーも急増した背景があり、グローバルにも急成長と遂げているスタートアップ企業の成功例です。

スタートアップ企業は夢がある

「DREAM BIG.」の文字

スタートアップ企業は、革新的なビジネスモデルを追求し、必要性を認識されれば急成長を遂げる企業です。
やりがいや大きなリターンなどのメリットがある一方で、倒産リスクの高さや不安定な部分が多いなどのデメリットもあります。
それでも、スタートアップ企業を立ち上げる方が多いのは「夢がある」からです。
デメリットは、事前準備や対策をしていく中で解消していける可能性があるため、挑戦するだけの価値は十分あります。
企業も人も急成長させるスタートアップ企業について、当記事で少しでも理解を深めて頂けたのであれば幸いです。

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