シェアリングエコノミーのデメリットや事例を解説!コロナで今後どうなる?filterシェアリングエコノミーのデメリットや事例を解説!コロナで今後どうなる?

シェアリングエコノミーのデメリットや事例を解説!コロナで今後どうなる?

「シェアリングエコノミーって具体的になに?コロナ禍でも市場規模が伸びている理由や今後はどうなるのかなど知りたい」
こんな悩みを持つ方向けに、シェアリングエコノミーについてまとめています。

当記事では、シェアリングエコノミーの基本的な概要、コロナ禍でも市場が伸びている理由、メリットやデメリット、導入事例、今後はどうなるのかなどを解説します。
シェアリングエコノミーは、今後も伸びていく市場として注目されていますので、ぜひ参考にしてみてください。

シェアリングエコノミーとは?

シェアサイクルを借りている様子

シェアリングエコノミーとは、プラットフォーマーと呼ばれる企業が、企業や個人の資産(モノ・場所・スキル・お金・移動手段)を活用できる場を作り、共有することができるサービスです。
シェアリングエコノミーの他には「シェアエコ」と略称で呼ばれることもあります。分かり安い例を1つ挙げると「カーシェアリング」が有名です。
カーシェアリングは、車のオーナーが使用していない時に、車を必要な方に貸し出すことができます。オーナーは貸し出すことでレンタル料を得ることができるため、資産を有効活用できる選択肢の1つです。

シェアリングエコノミーの歴史

シェアリングエコノミーの概念は、戦後の高度経済成長期後の1990年代に生まれたとされています。
当時は高度経済成長で「モノ」への「消費」が増え、「所有する」ことがステータスの時代でした。
ですが、その後は景気が低迷していくにつれて、生活が苦しくなっていき「消費」が減少し「モノ」だけが溢れる時代になっていきます。
こうなると、特に若い世代は節約志向になっていくため、消費するよりも共有して「活用する」ことが可能なシェアリングエコノミーのほうが「経済的」だと認知します。
こういった経緯から「モノを有効活用する」というシェアリングエコノミーの概念が浸透してきました。
所有していても価値が上がらないモノは、使わなければ意味がないですから、新たな有効活用方法として注目を集めています。
ちなみに、先ほど解説した「カーシェアリング」は、1987年のスイスで「車を共同で所有して利用する」という人が出始めたことから始まったとされています。
日本においては、2002年から「オリックスカーシェア」がシェアリングエコノミーサービスをスタートしました。

シェアリングエコノミーが普及してきた背景

モノに対する供給過多な状況が時代によって作られたことで、「所有する」ことから「活用する」ことへシフトしてきた背景は、すでに解説しました。
その他にもITの進化にともなって普及してきた要因もあります。
インターネットの普及によって、SNSなどのサービスで個人が簡単につながれる時代になりました。
そこで、お互いの持っている「モノ」のみならず「スキル」のシェアも伸びています。
形には見えない無形のシェアリングエコノミーは、インターネット環境さえあれば全国どこからでも提供したり、利用することができます。様々なSNSやサービスが展開されており、手軽に利用できるようになったことも大きな要因です。

シェアリングエコノミーがコロナ禍でも注目される理由

シェアリングエコノミーは、原則として個人と個人をつなぐサービスです。
そのため、ウィズコロナにおいては、数々のシェアリングエコノミーを展開している企業が大きなダメージを受けました。
例えば、民泊事業ではオリンピックの経済効果を狙って参入したものの、無観客・渡航禁止になったために売上が無くなった話はよく聞きます。
さらに、カーシェアリングも、感染の可能性が分からない他人とシェアすることになり、少しでも接触を避けるため利用頻度が減りました。
そもそも、外出自体を控える社会になっているため、外出してシェアできるサービス自体が、厳しい現実に立たされています。

ですが、そんな業績が低迷している企業の中にも、変化を柔軟に捉えて工夫することで売上を伸ばしている事例があります。
それは「Uber Eats(ウーバーイーツ)」です。
運営している会社は「ウーバーテクノロジー」であり、メイン事業は「配車サービス」です。
ウィズコロナによって配車サービスの売上が低迷するものの、「売上が低迷している飲食店」「外出を控えた消費者」「配送ドライバー」をつなげるというサービスへシフトしたことで成功を収めています。
時代のニーズを的確に捉えたことにより、フードデリバリー事業である「Uber Eats」が急拡大していきました。
これらは、それぞれが提供できるモノ・スキル・時間を提供したシェアリングエコノミーサービスと言えます。
こうした変化を柔軟に捉えて、新たな事業を展開する企業が増えているため、ウィズコロナでも注目されています。

シェアリングエコノミーでシェアされるサービス

シェアリングエコノミーでは、どんなサービスがあるのか解説します。

モノ

フリーマッケットの様子

自身で使用していたけど使わなくなったモノ、たまにしか使わないモノなどを提供・共有するサービスです。
代表的なのは「フリマ」などです。これらを共有したり、提供することでお互いの需要と供給を満たすことができます。

お金

なにかやりたいことを実現させる、新たな製品やサービスを作るなどの目的に対して、不特定多数の方から資金提供を受けるサービスです。
代表的なのは「クラウドファウンディング」などです。
依頼者は資金提供者に提供できるモノやサービスを提供してお返しし、資金提供者は対価としてモノやサービスなどを受け取ることができます。

スキル

自身が人よりも得意なスキルを活かして、必要とする方に対して提供するサービスです。
代表的なのは「家事代行」などです。
自身の持っているスキルを必要とする方に提供し、必要とする方は自身の目的を果たすことができます。

空間

自身が所有している空き家や、駐車場などの空間をシェアすることで、必要とする方に対して利用してもらうサービスです。
代表的なのは「カーシェアリング」などです。
いわゆる遊休資産(眠っている資産)を、必要な方に有効活用してもらうことができます。

移動手段

自身が所有している車や自転車などを、レンタルしたい方に貸し出すサービスです。
代表的なのは「カーシェアリング」です。
たまにしか乗らない車は持っているだけでも税金がかかりますが、シェアすることでレンタルしたい方から料金を得て、目的を果たしてもらうことができます。

シェアリングエコノミーの市場規模と今後

2020年度におけるシェアリングエコノミーの市場規模は、約2兆1,000億円と言われています。
大きく拡大しているため、2030年には約7兆円を超える市場規模になる見込みです。
ただし、この数字は認知度の低さやウィズコロナでの低迷を想定した数字であり、これらの問題が解決すれば、市場規模は約14兆円にまで拡大すると予測されています。
現状でも大きな市場規模ですが、今後の拡大には大きな期待を持つことができるでしょう。

さらに、SDGsの意識の高まりも追い風になると予想されます。
既存のモノを無駄にせず、シェアするシェアリングエコノミーは、経済活動を生み出すと同時にエコにも貢献してくれます。
エコを意識することで、ゴミ問題やエネルギー問題にも貢献してくれるようになります。

シェアリングエコノミーのメリット

シェアリングエコノミーには、いくつかのメリットがありますので解説します。

遊休資産の有効活用

企業や個人が所有しているモノで、普段は使用されていない遊休資産を有効活用することができます。
そのまま所有しているだけではコストが発生する土地や空き家、車などを必要な方にシェアすることで、お互いの利害関係が一致します。
さらに、エコが叫ばれている世の中で新たに消費するのではなく、すでにある使えるモノを共有することは時代に沿っているとも言えます。

新たな経済効果が生まれる

シェアリングエコノミーの拡大により、利便性が高くなり利用者が増えれば、新たな経済効果を生むことができます。
車を所有していない方であれば、カーシェアリングで安く借りることができます。
普段は行かない観光地にドライブし、そこでお土産やご飯を食べたりすることで消費行動が促されます。
さらに、モノだけではなく、例えばスキルを提供することで、提供された側の問題が解決して売上増加につながる可能性もあります。

初期費用を抑えられる

貸主が利用する際には、シェアリングエコノミーサービスに登録してシェアするというシンプルなシステムなので初期費用は、ほぼ必要ありません。
初期費用が、ほとんどかからないというのは、ビジネス目線で言えば大きなメリットと言えます。
例え、大きく利益を得ることができなくても、大きなリスクにはならないからです。
利用するだけではなく、貸し出す側にとっても魅力的だと言えます。

低価格で気軽に利用できる

貸し出す側は、主に遊休資産をシェアしますので、低価格で利用できることが多いのが特徴です。
シェアする側にとっては「使っていないだけで税金などのコストが発生するのであれば、誰かにシェアしてもらって税金分だけでも回収できればいい」というレベルでも、大きなリスクを負うことがないため、気軽に低価格で利用できるのが魅力です。

シェアリングエコノミーのデメリット

シェアリングエコノミーのデメリットを、いくつか解説します。

既存事業者はライバルが増える

貸主や利用者にとってはメリットのあるシェアリングエコノミーですが、その事業をこれまで運営してきた事業者にとっては脅威と言えるでしょう。
既存の料金よりも安く利用できるのであれば差別化ができない限り、利用者がシェアリングエコノミーへ流れていく恐れがあります。
気軽に格安で利用できることから、既存事業者にとってはライバルが増えてしまうデメリットが考えられます。
ですが、新たな事業を構築するチャンスでもあるので、ウーバーイーツのように事業を見直すことで成功する可能性もあるでしょう。

トラブルが増える可能性あり

エラーメッセージが表示された割れたスマートフォン

シェアリングエコノミーでは、個人間のやり取りになるため、細かい部分でトラブルに発展する可能性があります。
利用者にとっては想像していたモノと違っていたり、貸主にとっては、利用マナーが悪く貸し出したモノが破損しているなど、様々なリスクがあるでしょう。
事業者としてシェアするわけではないため、価格が安い分の細かいリスクがあるということを、双方が認識した上で活用するしかありません。

法整備がされていない

シェアリングエコノミーは近年、注目され始めてきた新しいサービスです。
そのため、シェアリングエコノミーに関する、法整備が整っていないことが問題視されています。
細かい部分でトラブルが起こる原因の1つと言えます。政府が法整備を進めているものの、業界全体が拡大をしていることもあり、適用されるまでには時間を必要とします。
市場規模はさらに拡大することが予測されているため、法整備が追いついてくれば、より利用しやすいサービスになっていくでしょう。

シェアリングエコノミー事例

タイムズカー

タイムズカーは、タイムズモビリティ株式会社が運営するサービスで、貸主の車を利用者がシェアできます。
利用料金はガソリン代込、実際に使った時間だけ料金が発生するため、通常よりも安くレンタルすることができます。
会員になることで、いざというときの補償制度を適用することができ、これらの費用も利用料金に含まれているため安心できるサービスです。

akippa

akippaは、akippa株式会社が運営するサービスで、空いている土地を駐車場として貸し出すことができます。
貸主は空いているスペースを有効活用することができ、利用者はより近くの駐車場を探すことができます。
登録されている駐車場数が豊富で、通常の駐車場よりも安い料金で停められるのが魅力です。
事前予約・決済することで慌てることなく利用できる他、貸主にとっても「駐車場シェア専用保険」が適用されるため安心です。

coconala

coconalaは、株式会社ココナラが運営するサービスで、自身のスキルを必要とする方へ提供することができます。
スキルマーケットとしては最大手であり、様々なジャンルの専門家のスキルを活用することができます。
スキル提供者は収入や認知度アップの場として、利用者は問題解決の場として、双方の需要と供給を満たしてくれます。
中には、自身の経験値や認知度をアップさせる目的で登録している専門家もいるため、通常の業者に依頼するよりも格安で請け負ってもらえるサービスもあります。

Makuake

Makuakeは、株式会社マクアケが運営するサービスで、なにかのプロジェクトを立ち上げたい、新製品を開発したいなどの個人や事業者が、不特定多数から資金提供を受けることができます。
いわゆる「クラウドファウンディング」です。
資金提供を求める側は、資金提供者に対して何かしらのリターンを用意して、資金提供者は資金提供の代わりに用意されたリターンを得ることができます。
上手く活用すれば、短期間で大きな金額を得られたり、新製品を優先的に手に入れることができるなど、双方にメリットが生まれます。

シェアリングエコノミーを有効活用しよう

ハート型にかたどられた紙を手渡す様子

シェアリングエコノミーは、近年、拡大しつつある新しいサービスです。
主に「人・モノ・お金・空間・移動手段」の5つを提供したり共有することで、貸主は利益を得られて、利用者は気軽に格安で利用することができます。
まだ新しいサービスのため、デメリットはあります。
さらに、ウィズコロナで低迷している事実はあれど、市場規模は拡大していくことが予想されている将来性のあるサービスです。
貸主として、また、利用者として利用する際には、それぞれのメリット・デメリットを理解しておけば、トラブルも事前に避けられます。
シェアリングエコノミーをうまく活用することで、より豊かな生活を実現できるでしょう。

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