オープンイノベーションを分かりやすく解説!導入メリットや事例もご紹介!filterオープンイノベーションを分かりやすく解説!導入メリットや事例もご紹介!

オープンイノベーションを分かりやすく解説!導入メリットや事例もご紹介!

「オープンイノベーションに興味がある。」
「でも、調べたけどよく分からなかったから、できる限り分かりやすく解説してほしい。」
こんな悩みを持つ方向けに、オープンイノベーションについてまとめています。

当記事では、オープンイノベーションの基本から、種類、メリット・デメリット、導入時の成功ポイント、事例を解説しています。
オープンイノベーションを活用することで、自社の成長や業務効率化に貢献してくれる可能性が高いので、ぜひ参考にしてみてください。

オープンイノベーションとは?

アイデアがひらめくイメージ

オープンイノベーションとは、他社の知識や技術などを自社に提供してもらうことで、新たなイノベーションを作っていくことです。
逆に、自社が持っている知識や技術などを他社へ提供することで、新たなイノベーションを作るという逆パターンもあります。
お互いにとって有益な知識や技術などを、社内外関係なく協力し合うことでビジネスを加速させる目的があります。
このオープンイノベーションは、UCバークレーのヘンリー・チェスブロウ教授が「目標達成のための知識のインフロー(外部からの流入)とアウトフロー(外部への提供)を活用して内部のイノベーションを加速し、イノベーションそのものの外部活用によって市場を拡大すること」と定義しています。
まとめると、お互いの足りない部分や足りている部分を、取り入れたり提供したりすることで、相乗効果によりビジネスが加速するというわけです。

クローズドイノベーションとの違い

オープンイノベーションと真逆なのが「クローズドイノベーション」です。
決定的な違いは「自社内のみで完結させる」という部分です。
オープンイノベーションは、外部からの知識や技術などを提供してもらったり、逆に提供することでイノベーションを作ります。
ですが、クローズドイノベーションでは、自社で0から全てを担当してイノベーションを生み出していきます。

オープンイノベーションが注目される理由

オープンイノベーションが日本で注目され始めたのは、IT化が進み始めた2000年代に入ってからです。
1990年代の日本では、大企業が資本力を武器にして「自社開発」を進めていました。
今ほどグローバル化が進んでいなかったため、すでに流通していた製品や事業をもとに自社で完結させたほうがコスト面で有利だったからです。
ですが、2000年代に入ってからは、グローバル化やIT化が進んだことにより、これまでの商品よりも複雑で高度な商品が出回る時代になりました。

この時代を「VUCA(ブカ or ブーカ)」と呼びます。
それぞれ「Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)」の頭文字です。
企業側としても、より質の高い商品開発をしなければ生き残れないため、自社開発だけでは限界を感じ、オープンイノベーションを取り入れてきたというわけです。
研究や商品開発以外にも、新たなビジネスモデルの開発などにも活用されています。

オープンイノベーションの種類

オープンイノベーションには、3つの種類がありますので解説します。

インバウンド

自社に足りない部分を、外部からのアドバイスや技術によって補うことです。
自社ではノウハウや技術が乏しいジャンルで新規事業を行う際には、インバウンドでのオープンイノベーションをおこなうことで、0からおこなうよりも成功率はアップしやすくなります。

アウトバウンド

社内のノウハウや技術などを、外部に提供することです。
自社内だけで良いアイデアが挙がらない場合は、外部へノウハウや技術を提供することを前提に、新たなアイデアを募集し共同開発などをおこないます。

連携

「インバウンド」と「アウトバウンド」を組み合わせることです。
自社の足りない部分を外部から補い、協力関係にある企業に自社の強みを提供します。
双方の足りない部分が解消されるため、大きな相乗効果が期待できます。

オープンイノベーションのメリット

オープンイノベーションには、3つのメリットがありますので解説します。

新たな技術やノウハウなどの獲得

技術開発の様子

自社には蓄積されていない技術やノウハウなどを得ることができます。
これらを得られることで、今まで自社で活かしきれなかった技術やノウハウと掛け合わせることで、新商品やサービスを生み出すことが可能になります。
さらに、開発後の販路やマーケティングノウハウも得ることが可能です。
こうして得た技術やノウハウは、自社に蓄積することができますので、今後の成長にも大きく貢献してくれるでしょう。

開発コスト&期間の削減

すでに形になっている技術やノウハウを得られるため、0から形にするまでの期間と開発コストを大幅に削減することができます。
技術やノウハウなどを0から得るためには、膨大な時間とコストが発生します。
オープンイノベーションをおこなえば、外部からの優秀な人材や技術などを、自社で0から準備して用意するよりもコストを抑えられて手間も省くことが可能です。

事業拡大

オープンイノベーションによって、新たな商品やサービスの開発に成功すれば事業拡大しやすくなります。
協業していく中で、新たなニーズやアイデアが生まれることもあるでしょう。
自社だけでは実現が難しくても、外部との連携によって実現可能なアイデアが増えていく可能性があります。
そうなれば、新たな分野への進出なども現実的に可能になるため、事業拡大できる可能性は高くなります。

オープンイノベーションのデメリット

オープンイノベーションには、デメリットもありますので解説します。

利益の減少

オープンイノベーションをおこなうと、協業する企業と業務提携などをすることになるため、自社で全て完結させるよりも利益が減少します。
ですが、これは一時的なものであり、新たなノウハウや技術などを得ることにより事業拡大や増益に貢献してくれます。
オープンイノベーションを活用する際には、短期的な視点ではなく中長期的な視点で見ることが大切です。

技術や知識の流出

大量に積み上げられた本

アウトバウンドをおこなう際には、自社のアイデア・技術やノウハウなどを提供することになるため、なんらかのトラブルにより外部へ流出してしまう恐れがあります。
その結果、ライバル企業に知られてしまうと市場のシェアを奪われたり、意図しない手助けをしてしまいます。
利益に直結する事態になるため、オープンイノベーションで公開する範囲を慎重に検討し、流出させないように厳重なルールを社内外で確立しておくことが重要です。

コミュニケーションコスト増加

自社内で完結するわけではないため、協業する企業とのコミュニケーションが増加することになります。
新たな技術やノウハウが形になっている状態だとはいえ、いかに有効活用して形にしていくかは、相手企業と綿密なコミュニケーションが必要になります。
ですから、円滑なコミュニケーションを効率よくできるよう環境を整えて、お互いのすれ違いが起こらないようにするのが大切です。

トラブル増加の可能性

協業する際には、コミュニケーションのすれ違い、利益配分、セキュリティ問題など、トラブルの元が潜んでいます。
せっかくお互いの強みを生かして素晴らしいイノベーションを生み出そうとしているのに、トラブルで進捗が遅れてしまってはオープンイノベーションの意味がありません。
ですから、事前に起こりうるトラブルを想定して、双方で解決策などを事前に共有しておくといいでしょう。

自社開発力の低下

インバウンドで自社に新たな技術やノウハウを取り入れる際には、0から自社で完結させるわけではないため確実に蓄積しなければ、自社開発力を高めることができません。
自社開発力も高めて独自の強みを持っていなければ、ライバル企業に負けてしまうでしょう。
ですから、得た技術やノウハウを、オープンイノベーション後に活かせるようにするかが重要なポイントです。

オープンイノベーションの成功ポイント

オープンイノベーションを活用する際に、意識しておくと成功しやすいポイントを解説します。

自社課題と目的の明確化

自社の課題や強みなどを洗い出して明確にしましょう。
明確にならないと、インバウンドや連携の場合、どんな技術やノウハウを取り入れていけばいいのか迷ってしまいます。
アウトバウンドの場合は、自社の技術やノウハウをどこまで提供すべきかの基準になります。
そして「なぜオープンイノベーションをおこなうのか?」という目的も明確にしましょう。
実施するにあたり、何かしらの判断を求められた時に本来の目的をブレさせないためです。
取り組んでいくうちに、本来の目的が損なわれてしまうようなオープンイノベーションでは意味がありません。

対象と内容の選定

自社の課題や目的が明確になったら、自社の成長に必要不可欠な企業はどこかを考えて選定します。
ある程度の目処がついたら、何を提供してほしいのかを選定します。
アイデア・技術・ノウハウ・研究内容・専門家の派遣など、企業によって様々です。
自社の経営資源で何ができて、何が必要なのかを考えておきましょう。
逆にアウトバウンドを実施する場合は、どんな企業に何をどこまで提供すべきなのかを検討します。
大切な技術やノウハウですから、慎重に進めなければいけません。
ここで明確に選定して、相手企業に理解してもらうことができれば、オープンイノベーション後のトラブルも起きづらくなるでしょう。

推進担当の選定と固定

オープンイノベーションは取り組む内容によりますが、研究開発などが長期になる可能性があります。
形ができている技術やノウハウと言えども、それを活用して新たな形にするまでは、それなりに時間はかかります。
ですから、オープンイノベーションの推進担当者を選定したら、よほどの事情がない限りは固定するのがいいでしょう。
オープンイノベーションに限らずですが、長期のプロジェクトで担当者の入れ替わりが激しければ、協業先の企業も困惑してしまいます。
情報漏れなどによるトラブルにも発展しかねません。
ですから、担当者を選定したら固定させたほうが、オープンイノベーションに取り組みやすくなります。

流出リスク対策

アウトバウンドをおこなう場合、技術やノウハウなどの流出リスクがあります。
自社にとって他社との差別化ができる重要な資産であり、流出することは自社の利益が減ってしまう原因になるでしょう。
ですから、協業企業のみならず自社のセキュリティなどを再度見直し、流出しないよう担当者などのセキュリティ教育や、厳格なルールづくり、システム強化などの対策をすることが大切です。

コミュニケーションの円滑化

複数人でコミュニケーションを取っている様子

デメリットとして「コミュニケーションコストの増加」を挙げましたが、コミュニケーションが円滑に進めば、効率よくオープンイノベーションが進められます。
常に情報共有できるようオンラインストレージやWEB会議ツールを有効活用したり、担当者を固定して双方の食い違いがおこらないように努めたりしましょう。
意見が衝突することもあるかもしれませんが、良いものを作ろうとするほど過程は複雑になるものです。
イノベーションを効率よく起こすために、コミュニケーションの円滑化も意識しましょう。

オープンイノベーション事例

オープンイノベーションを実施した事例を、いくつかご紹介します。

ユニクロ

アパレルメーカーのユニクロ(ファーストリテイリング)は、繊維事業大手の東レとのオープンイノベーションによって、「ヒートテック」や「ウルトラライトダウン」などのヒット商品を生み出して成功させてきました。

花王

消費財化学メーカーの花王では、自社のみで使用していた独自技術である「ファインファイバー技術」の可能性を広げるために、オープンイノベーションを推進し社外へ提供しています。
化粧品関連にファインファイバー技術を応用したことによって、様々な化粧品を生み出してきたことから成功事例と言えるでしょう。

日立製作所

電機メーカーの日立製作所では、オープンイノベーションを推進するために、国内外の大学や企業との連携によって、イノベーションを加速させる取り組みをしています。
例えば、顧客協創方法論「NEXPERIENCE」のもと「協創の森」「日立オープンラボ横浜」「茨城協創スペース」などの研究開発拠点を開設しています。

オープンイノベーションの活用で成長を

手を取り助け合う子供

オープンイノベーションは、自社の技術やノウハウなどの経営資源を、他社に提供することで相乗効果により、新たなイノベーションを生み出すことが可能です。
こうした「インバウンド」だけではなく、自社の技術やノウハウを他社に提供する「アウトバウンド」や、ともに補い合う「連携」などもあります。
デメリットこそあるものの対策ができないわけではありませんし、メリットによる恩恵が素晴らしいため、どちらもよく理解した上で活用することが重要です。
ご紹介したポイントを意識して頂き、オープンイノベーションを有効活用して新たなイノベーションを生み出していきましょう。

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