インキュベーションとは?目的や起業家が注目すべき施設など解説!filterインキュベーションとは?目的や起業家が注目すべき施設など解説!

インキュベーションとは?目的や起業家が注目すべき施設など解説!

「インキュベーションって具体的になんだろう?どんな支援が受けられたり、活用するにはどうすればいいの?」
こんな悩みを持つ方向けに、インキュベーションについてまとめています。

当記事では、インキュベーションの基本的な部分から、意味や目的、活用すべき人、支援内容、活用方法、インキュベーションプログラム、インキュベーション施設について解説します。
インキュベーションを理解することで、ビジネスを加速させられる可能性が高まるので、ぜひ参考にしてみてください。

インキュベーションとは?

成長を表すグラフ

インキュベーションとは、ビジネスの現場で「新たなビジネスの成長を促すためのサポートする活動」という意味の言葉です。
1950年代にアメリカで生まれたとされ、日本では1999年頃に「日本新事業支援機関協議会」が設立され広まったようです。
英語本来の意味は「incubation(孵化)」であり、必要としている方に対して専用施設やプログラムなどでサポートしています。
インキュベーションをおこなう組織は「インキュベーター」と呼ばれ、自治体をはじめ、中小機構・大学・ベンチャーキャピタルなどが施設を用意していたり、支援するためのサポートをおこなっています。

インキュベーションの目的

インキュベーションの目的は、スタートアップやベンチャー企業といった「事業を始めて間もない・安定していない状況」を支援する目的があります。
素晴らしいアイデアを持って創業しても、経営がうまくいくとは限りません。
「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源や知識、ノウハウなどが不足している経営者を支援します。
例えば、ベンチャー企業の倒産率は5年で約85%とも言われており、いかに創業期と第二創業期で土台を作って安定させられるかが重要です。
安定のみならず、時代の変化に沿って新規事業なども必要に応じて取り組むことで、倒産の可能性を減少させることが可能になります。
インキュベーションは、そういった倒産率の高いスタートアップやベンチャー企業を支援し、日本経済を活性化させるために重要だと言えます。

インキュベーションを活用すべき人

インキュベーションを活用すべき人は、スタートアップやベンチャー企業などの経営者です。
インキュベーションの目的は、上記でも解説したとおり、創業後の経営に対する問題をサポートする目的があります。
経営者は自社の足りない部分を明確にした上で、インキュベーションが必要なのか、必要であればなにを支援してもらうべきなのか、などを検討してみてください。

インキュベーションの支援内容

インキュベーションの支援内容は、主に「人・場所・お金・情報」の4つを支援してくれますので、それぞれ解説します。

人の支援

経営の経験が乏しい経営者・起業家にとって、経営に関する様々な悩みや不安(起業方法・事業運営・マーケティング・労務・税務など)がつきまといます。
これらを少しでも解消するためにインキュベーションを利用すれば、インキュベーションマネージャー(それぞれの専門家)に相談やアドバイスをもらうことが可能です。
専門家に相談すれば、自身では見えなかった問題点や解決方法が分かるようになり、事業の成功率がアップします。
特にスピード感が重要な事業においては、悩んでいる時間は機会損失になる可能性があるため、早期にインキュベーションの活用を選択肢の1つとして検討しましょう。

場所の支援

共同で仕事を行う様子

スタートアップやベンチャー企業で、大きな問題になるのが「資金」です。
特に事業を開始したばかりの時期であれば、大きな固定費であるオフィスのコストがネックになるでしょう。
さらに、研究開発が必要な場合は、適した施設を探すのにも苦労します。
こうした問題を解決するために、インキュベーションでは「インキュベーション施設」を提供しています。
通常のオフィスと違う点は、事業運営に有利な環境だという部分です。
例えば、ネックになる家賃は「月平均3~5万円」ほどが相場となっており、資金力が乏しい創業期においては嬉しい支援です。
さらに、研究開発に使用できるラボや工場なども利用することができるため、モノづくりにおいても重宝する施設です。
インキュベーション施設については、後ほどメリットなどを踏まえて詳しく解説します。

お金の支援

上記でも解説したとおり、スタートアップやベンチャー企業は資金面の不安が大きいです。
資金調達方法については、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどから借りる方法もありますが、インキュベーションを活用することでも解決できます。
資金調達方法はもちろんのこと、自治体の補助金や助成金、金融機関からの借入れなど、資金調達に関する交渉やアドバイスを受けることも可能です。
資金提供の例としては「1st Round」があります。
東大IPCをはじめとした、東京大学、筑波大学、東京医科歯科大学、東京工業大学の5機関が合意した、インキュベーションプログラムです。
卒業生・学生・教員・資金調達前の大学関連シードベンチャーが採択対象になり「最大1,000万円の資金提供・各種経営支援」を半年間サポートしてくれるプログラムもあります。

情報の支援

経営者向け交流会があります。
業種や年齢の垣根を超えた、経営者・起業家向け交流会です。
経営者同士ならではの悩みやアドバイスを共有できるため、参加するだけで有益だと言えます。
さらに、様々な業種の経営者とつながれるチャンスでもあり、交流する中で新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もあるでしょう。
現状を打破するアドバイスをもらうことができるでしょう。
有益な情報を得られるとともに人脈を広げるチャンスでもあります。
経営に関するセミナーや勉強会です。
同じく経営に携わる意識の高い仲間とともに、経営のプロから、実践的な内容を学べます。
ここでも、仲間同士で情報交換やアドバイスをし合うことで、より有益な学びを得ることができるでしょう。

インキュベーション施設について

インキュベーションで支援を受けるなら、様々な団体が運営しているインキュベーション施設を活用しましょう。
例えば、中小機構が運営するインキュベーション施設は日本全国にありますので、地域や目的に合った施設を選択するといいでしょう。

インキュベーション施設の種類

インキュベーション施設には、いくつか種類がありますので解説します。

ベンチャーキャピタル

スタートアップやベンチャー企業の成長を支援して利益を出すため、出資するベンチャーキャピタルが運営するインキュベーション施設があります。

自治体

自治体でも地域活性化などの目的で、インキュベーション施設を運営しているところもあります。

大学

国立・私立大学の中でも、大学で研究や開発をしている分野、大学発ベンチャーを支援するためのインキュベーション施設を運営しています。

大手企業

オープンイノベーションの一環として、自社の事業に関する事業を支援するための、インキュベーション施設を運営している大手企業もあります。

インキュベーション施設のメリット

インキュベーション施設を利用するメリットを解説します。

家賃が安い

インキュベーション施設は、資金力が乏しいスタートアップやベンチャー企業の支援を目的としているため、施設の家賃は一般的な相場よりも安め(月平均で3~5万円ほど)に設定されています。
さらに、入居要件などの条件はありますが、自治体が運営するインキュベーション施設の中には、最大70%ほどの家賃補助を受けられる場合もあります。
安くオフィスを借りるなら、レンタルオフィスという選択肢もあります。
ですが、インキュベーションで様々な支援が受けられるという点では、インキュベーション施設の活用がオススメです。

事業運営に役立つ支援を受けられる

相談を受けている女性

インキュベーションマネージャーからの支援や、経営セミナー・経営者向け交流会・研究開発の専用施設利用・資金調達のアドバイス・資金提供など、様々な支援を受けられます。
例え、将来性のあるビジネスアイデアがあっても、経営経験が乏しければ事業運営がうまくいかないことはよくあります。
何事も初めが肝心ですから、早期にインキュベーション施設を利用することで、事業を効率よく拡大させることができるでしょう。
施設利用などのハード面から、経営支援などのソフト面までトータルで心強い支援を受けられるのが大きなメリットです。

専用施設が利用できる

モノづくりするような分野であれば工場や設備、研究開発するような分野(医療・バイオなど)であればラボなど、分野に合わせた専用施設を利用することができます。
通常、これらの環境を整えるためには膨大なコストが必要になります。
それこそ、数千万円~レベルの資金が必要になるでしょう。
そんな専用施設を、インキュベーション施設の利用によって活用できることは、スタートアップやベンチャー企業にとっては願ってもないことです。
こうした、分野ごとに最適な施設利用が可能な点も、大きなメリットと言えます。

人脈が広がる

インキュベーション施設では、同じ施設内にいる経営者と交流できる共有スペースがあったり、経営支援としてセミナーや交流会などもおこなっています。
こうした環境では、同じ悩みを抱えている経営者同士で、悩みの共有や情報交換が可能です。
交流していけば人脈を広げることが可能になりますし、新たなビジネスチャンスが生まれることもあるでしょう。
業種は違えど、同じ志を持った仲間と関わることは、良い刺激にもなります。

インキュベーション施設のデメリット

インキュベーション施設のデメリットも解説します。

審査がある

スタートアップやベンチャー企業にとっては、願ってもない整った環境なだけに、それなりに入居審査や利用条件などがあります。
例えば、その地域のインキュベーション施設を利用するのであれば「入居する施設がある地域で起業する」「地域に貢献する業種」などです。
さらに、事業内容、創業してどのステージにいるのか、設立して何年なのかなど細かい条件がある場合もあります。
空いていれば無条件で入れるわけではないだけに、入居までのハードルが高いことがネックです。
ですが、逆に入居要件や条件をクリアすることができれば、事業を拡大させるために最高の環境が用意されていますので、それぞれのインキュベーション施設の詳細をチェックして検討してみましょう。

入居期間が決まっている

支援が充実しているインキュベーション施設ですが、事業がうまくいくまで入居できるわけではありません。
その多くは、原則1年という入居期間となっています。
状況によっては、1年更新で5年ほどまで延長できる施設もあるようです。期間が決まっていることは、結果が出るまでに時間がかかる分野にとって、デメリットになりうるでしょう。
ですが、インキュベーションマネージャーや施設の支援を受けられるため、通常よりも効率的で濃い期間を過ごすことができます。その分、成果を出すまでの時短になるでしょう。

オフィスの自由度が少ない

入居できる多くのメリットがある一方で、レイアウトや環境などの自由度が高いとは言えません。
すでに整っているオフィスに入居できるわけですが、それが必ずしも自社にとって使いやすいとは限りません。
通常のオフィスであれば、使いやすいように動線を考慮したレイアウトや環境を整えられます。
自由度は決して高くはないものの、起業支援のための施設になりますので、いち早く慣れる努力をするほうが懸命です。

経験豊富ではないインキュベーションマネージャーの可能性もある

原則として、インキュベーションマネージャーには専門知識と経験が求められます。
公営のインキュベーション施設であれば、国家資格を持った専門家などの経験豊富な担当が置かれます。
ですが、自治体のインキュベーション施設では国家資格などの要件がないため、経験不足のインキュベーションマネージャーもいるようです。
これには人材不足の問題もあるため、事前にインキュベーション施設のサイトを見たり、問い合わせをして確認しておくといいでしょう。

インキュベーションでビジネスを加速させよう

成功して喜ぶ人

インキュベーションは、スタートアップやベンチャー企業などの経営者や起業家向けに、事業を拡大させるための支援を受けることができます。
起業から事業拡大まで「人・場所・お金・情報」の支援を受けられます。インキュベーションマネージャーに相談したり、アドバイスをもらうことが可能で、専用施設を利用して効率よくビジネスを加速させることが可能です。
インキュベーション施設は様々な地域、運営元がいます。必要であれば、自社に合う施設を検討して頂き、有効活用していきましょう。

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