【経営改善】企業の固定費削減でオススメな方法と注意点を解説filter【経営改善】企業の固定費削減でオススメな方法と注意点を解説

【経営改善】企業の固定費削減でオススメな方法と注意点を解説

「経営改善するために社内の固定費を削減したいけど、具体的に何を削減していけばいいの?どんな方法があるの?分かりやすく教えてほしい」
こんな悩みを持つ方向けに、企業の固定費削減方法と注意点をまとめています。

当記事では、固定費に関する基本から、削減のメリット、オススメの固定費削減方法、注意すべきポイント、固定費削減の企業事例を解説しています。
固定費の削減は大きな課題であり、改善することによって利益に直結したり、業務効率化にもつながります。ぜひ参考にしてみてください。

企業は大きく分けて2つの費用がある

お札を広げて数えている様子

企業では大きく分けて「変動費」と「固定費」の2つがあります。

変動費

変動費は、生産量や販売量などによって変化する費用のことです。
主な変動費としては「原材料費・販売手数料・運送費・広告費・研究開発費」などが挙げられます。
ただし、明確に変動費という項目が決められているわけではないため、企業によっては固定費として処理することもあります。

固定費

固定費は、生産量や販売量などに関係なく発生する費用のことです。
主な固定費としては「土地代・家賃・水道光熱費・固定資産税・減価償却費・人件費」などが挙げられます。
固定費は、どんな状況でも必ず必要になる費用なので、売上が下がる状況になった時のためにも、積極的に削減しておきたい費用です。

固定費削減が必要な理由

変動費は状況により費用を調整できる反面、状況に応じて適切な削減をしなければ逆効果になるため、削減の難易度は固定費よりも高めです。
固定費であれば費用を把握しやすいため削減しやすく、後ほど解説する「売上に対する利益率アップ」や「業務効率アップ」効果が見込めます。
ですから、コスト削減をおこなうのであれば、固定費から取り組むべきでしょう。
特に、ウィズコロナなどのイレギュラーな状況において、固定費は企業にとって大きな負担になります。
家賃などの固定費が支払えず、倒産してしまった企業が山ほどある現状からも、通常から固定費削減に取り組むことが大切です。

固定費削減のメリット

固定費を削減することで得られるメリットを解説します。

利益率アップ

固定費を削減することで、売上に対する利益率アップが見込めます。
分かりやすく解説するため計算を簡略化して解説すると、売上が1,000万円で削減前の固定費が700万円だったとします。
利益は「売上-経費」となりますので、この場合の利益は300万円となり利益率は30%です。
この経費から固定費削減をおこなった結果、20%削減できたとしましょう。経費が700万円で20%削減(140万円)になりますので「売上1,000万円-(経費700万円ー削減金額140万円)」となり、利益が440万円にアップします。
利益率は削減前よりも14%アップの44%です。利益率の改善は、売上をアップさせるよりも取り組みやすく、早く効果が実感できるメリットがあります。

業務効率アップ

グラフを使って現状を可視化している

固定費を削減することで、業務効率アップも見込めます。固定費には「人件費」や「家賃」などが含まれます。人件費であれば「時間外労働」を極力減らすことにより、残業代を削減することができます。そして、残業が減ることで社員のモチベーションや生産性アップに繋がり、結果的に業務効率アップに貢献してくれます。他には、オフィスを縮小化してテレワークなどの多様性のある働き方を導入することで、家賃や水道光熱費が抑えられますし、家賃が安い地方にサテライトオフィスを構えることでも固定費を削減することができます。こうした削減の結果、社員の「通勤ストレス緩和」に繋がりモチベーションや生産性アップが見込めます。全ての業種に当てはまるとは限らないものの、固定費を見直して削減することで、業務においても無駄を省ける場合があることを覚えておきましょう。

オススメしたい固定費削減方法

固定費を削減するために、オススメしたい方法を解説します。

テレワーク化

ウィズコロナで爆発的に増加した「テレワーク」の導入を検討しましょう。
現場作業員などの「現場でしか対応できない職種」への導入は厳しいですが、事務系やIT系の職種など「遠方でも対応できる職種」であれば導入できます。
テレワークを実施するにあたり、制度や環境構築に時間とコストはかかりますが、長い目で見れば固定費削減に貢献してくれるでしょう。
賃貸を事務所にしている場合には、家賃がネックになりますが、テレワークで社員数が減ることでオフィスの縮小化が実現できます。
業種によっては、格安のレンタルオフィスでも対応できてしまうでしょう。
そして、社員数が減ることによる水道光熱費も削減することが可能です。

アウトソーシング化

家賃以上に大きな割合を占める固定費と言えば「人件費」です。
企業にとって社員は必要不可欠な存在なので、仕方ない部分ではあります。
特に専門性の高い人材や業務が多い企業にとっては、人件費は大きな負担になるでしょう。
こうした専門性の高い部分をアウトソーシング化することで、時間外労働による残業代を削減することができたり、業務効率を落とさずに社員数自体を減らすことが可能になります。
例えば、事務、問い合わせ対応、秘書などの業務はアウトソーシング化することが可能です。
自社で社員を雇うよりも、人件費を抑えることができるため固定費削減に繋がります。

ペーパーレス化

現在ではインターネットやITが普及しているため、ペーパーレス化の導入もオススメです。
紙媒体での資料を作成し保管するのではなく、パソコンで簡単にやり取り可能なPDFなどを有効活用することで、固定費削減に貢献してくれます。
紙媒体で資料を作成し保管することにより紙代・印刷代・インク代・電気代・保管コストなどが発生します。
ペーパーレス化することで、これらの固定費を削減することができますし、保管や資料のやり取りも簡単になります。
固定費削減だけではなく業務効率化にもつながるため、ペーパーレス化を検討してみましょう。
後ほど解説しますが、ペーパーレス化は多くの企業で導入されはじめており、その削減効果は目を見張るものがあります。

オフィス縮小化

テレワーク化の部分でも触れましたが、オフィスの家賃は固定費として負担が大きいです。
テレワーク化を導入することで、オフィスに必要な人材を必要最低限に抑えることにより、これまでのオフィスよりもスペースが必要なくなります。
そのため、オフィスを縮小化できるようになり、家賃の固定費を削減できるでしょう。
オフィス縮小化に伴い、より削減したい場合は「レンタルオフィス」を検討してみてください。
料金が格安な割に立地が良く法人登記できるオフィスが多く、各種サービスも整っています。
スタートアップでも活用されているため、固定費削減に大きな効果を発揮してくれるでしょう。

社用車の見直し

社用車が並べられている様子

社用車を所有している場合、ガソリン車や年代の古い車ではなく、最近のハイブリッド車や電気自動車の導入を検討してみましょう。新車登録から11年経過したディーゼル車、13年経過したガソリン車は自動車税が15%ほど上乗せされるため、これら以降の年式の車を選びましょう。さらに、ハイブリッド車や電気自動車であれば「エコカー減税」で税金が免税・減税になったり、燃料代の削減を実現することができます。車両本体の費用は、年式の古いガソリン車よりは高くなりますが、長期的に見れば固定費削減という目的には合っています。特に営業や配達などの業務がメインの企業では、こうした社用車の見直しは大きな削減効果が得られます。

各種サービスの最適化

社内で利用されている各種サービス(特にツールなどのサブスクリプション)を見直し、現状で費用効果の高いものだけを残し、費用対効果の低いものは解約するか、プランのダウングレードを検討しましょう。毎月の固定費として負担になるため、この部分を最適化できると固定費削減につながります。費用対効果が低いサービスは、社内資源を圧迫しない程度に補えるなら、社内で対応するのもいいでしょう。固定費削減のためにも、こうした各種サービスの費用対効果を定期的に測定し、常に無駄を省けるルール作りをしておくことも大切です。付き合いで契約したサービスがあるかもしれませんが、固定費削減という目的を達成するために、解約やダウングレードなどの決断をしてください。

固定費削減で注意すべきポイント

固定費を削減する際に、注意すべきポイントを解説します。

必要なものまで削減しない

固定費を削減することに意識が傾き過ぎてしまうと、必要である固定費まで削減してしまうことがあります。
固定費の削減は、業務効率や社員のモチベーションなどを考慮して、バランスを考えて削減しなければいけません。
例えば、業務効率化を考えて何らかのITツールを導入した場合は、削減方法でも解説したとおり解約ではなく「プランをダウングレード」して様子を見るという方法があります。
検討した結果、本当に不要なものは解約することも大切ですが、業務効率や社員のモチベーションなどが悪化する場合は、段階を踏んでフェードアウトさせるのがコツです。
固定費削減は将来的なメリットを得るために必要なものであり、一時しのぎのものではないことを理解しておきましょう。

社員への理解を深める

固定費を削減するには、様々な対策をおこなうことになります。
それは、テレワークの導入であったり、これまで活用していたサービスの解約であったり、職場環境が変化する可能性が高いです。
それは、社員にとっては慣れるまで負担になる可能性があり、理解が得られていないと逆に生産性やモチベーションが下がりかねません。
事前に「何をどう削減すれば、どんな変化が起こりメリットがあるのか」など、社員へ固定費削減について理解を深めることが大切です。
協力してくれる社員には、新たな評価制度を導入してモチベーションを維持させる方法もあります。
社内で協力し合うことで実現するものなので、温度差が生まれないようにしたいものです。

長期目線で取り組む

固定費は、すぐに効果が分かるものもあれば、将来的に効果が分かるものもあります。
例えば、オフィスの家賃は目に見えて削減効果が実感できますが、細かい部分の削減は長期の積み重ねで効果を発揮します。
さらに、削減したことによる将来的なメリット(生産性など)は、時間が経たなければ分からないため、長期目線でコツコツ取り組んでいく必要があるでしょう。
一時的に削減しただけでは、将来的にコストが増加してしまう恐れがありますので、焦らず着実に削減すべき部分を洗い出して積み重ねていくことが重要です。

企業の固定費削減事例

実際に企業では、どのような事例があるのかを解説します。

セブンイレブンジャパン

照明がLED化されてる部屋

コンビニ業界最大手のセブンイレブンでは「ペーパーレス化・節電&LED化」によって、大きく固定費を削減することに成功しています。
具体的には、会計システムを再構築したことにより、これまで使用していた伝票と帳票をペーパーレス化しました。
この取り組みによって、用紙代・保管コスト・事務処理コストが大幅に削減され、年間で14億円もの削減に成功しました。
ペーパーレス化されたことにより、データの管理や共有もしやすくなったのです。
さらに、店舗の空調調整やLED化によって、電気代を1ヶ月で約27%削減することにも成功しています。

ソフトバンクグループ

通信大手のソフトバンクグループでは、年間に1000個以上の細かい削減策によって200億円ほどの削減に成功しています。
その中でも特に大きな成果は、セブンイレブン同様に「ペーパーレス化」です。
社内業務のみならず、法人顧客との契約をもペーパーレス化しました。
これにより、用紙代・保管コスト・事務処理コスト・印紙代などが大幅に削減され、この取り組みだけでも数億円ほどの削減効果が生まれたのです。
紙媒体でしか業務がおこなえない業種以外は、2社の事例のように大きな金額ではないにしろ、ペーパーレス化することで削減効果と生産性アップが期待できます。

固定費削減を実現して経営改善を目指そう

本を読んでいる人

固定費は、企業の売上状況に関係なく必要になる費用です。変動費とは違い、売上が落ちても必要になるため、固定費削減は企業にとって大きな課題です。
特に、ウィズコロナなどのイレギュラーな事態において、固定費削減の重要性は高くなります。
削減することで利益率や業務効率がアップしやすくなり、プラスになることは間違いありません。
今回解説した削減方法や注意点を参考にして頂き、社内で削減できる固定費がないか、ぜひチェックして取り組んでみてください。

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