登記に記載する会社の住所はどこがいい?オフィス選びのポイントfilter登記に記載する会社の住所はどこがいい?オフィス選びのポイント

登記に記載する会社の住所はどこがいい?オフィス選びのポイント

かなこ
かなこ

会社を設立するときに意外と悩むのが、登記する会社の住所。一見どこでも良いように捉えられがちですが、実はそんなことはありません。しっかりと確認をせずに登記してしまうと違法になってしまう場合もあります。そこで今回は、法人登記に最適なオフィスの選び方を注意点と共にご紹介していきます!

登記簿に記載する会社の住所に決まりはあるのか?

法人登記をするために提出する必須書類の中に、本店所在地の住所を記載する欄があります。商業登記法上は、この記載住所はどこでも可能です。
唯一、商業登記法第27条に同一商号、同一本店の禁止という規制があります。

(同一の所在場所における同一の商号の登記の禁止) 第二十七条 商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所(会社にあつては、本店。以下この条において同じ。)の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することができない。

引用:e-Gov法令検索

かなこ
かなこ

オフィスの種類を確認する前に、まずは会社の住所の重要性から確認しておきましょう。

住所の選択肢があるイメージ、ポスト

会社の住所がもたらす影響

最も影響を与えるのは、社会的信用の問題です。
例を挙げて説明します。今あなたが取引を持ちかけられている会社が2社あるとします。取引の内容はまったく同様です。唯一の違いは会社の所在地が「都心部の一等地の住所」と「山奥の個人の自宅住所」という点です。その場合あなたはどちらを選びますか?
おそらく、多くの方は前者を選ぶでしょう。
なぜなら、都心部は坪単価が高く、その地にオフィスを構えているということは、ある程度事業が安定しているという判断基準になり得るからです。

上の例は少し極端ではありますが、会社によっては取引時に信用調査をします。その際に会社の住所が個人宅の場合、取引を不可とすることもあります。
また、一度登記した会社の住所から変更をする場合は、変更手数料が3万円かかります。
そして、変更した場合でも過去に登記された住所が履歴として残ります。後から変更すれば良いという認識で安易に決めてしまうのはリスクを伴いますので注意が必要です。
登記する会社の住所は事業に応じた最適な住所をしっかりと検討した上で登録しましょう。

かなこ
かなこ

それでは、具体的に会社の所在地の候補を、メリットとデメリットと共にみていきましょう!

オフィスの部屋のイメージ写真

会社の本店所在地となるオフィス候補

自宅

メリット

新たに家賃や家具などの初期費用がかからず、すぐに使用することができます。また、自宅の光熱費や通信費を会社の事業の一部として使用した場合は、経費として申請をすることができます。
家庭と仕事の両立をする方やインターネットのみで仕事が可能な方にはオススメです!

デメリット

許認可や事務所の要件がある場合には、自宅では登記ができないことがあります。
また、自宅をオフィスにすることで、プライバシーが損なわれる可能性もあります。現在では国税庁の法人番号公表サイトがあり、誰もが簡単に会社名や本店所在地としている住所を閲覧することができます。結果的に、自宅の住所を全世界に公開することになるので注意が必要です。

自分が所有している自宅でなく賃貸の場合は、商業用の拠点として使用が可能か、オーナーの確認が必要です。居住をメインとしているマンションは禁止していることが多いです。
所有しているマンションの場合でも、マンションの管理規約に居住地としての利用を目的とする旨の記載があることがほとんどです。その際は、オフィスとしての使用ができません。
持ち家の場合、住宅ローンの減税の対象となっていることがあります。その際は、事業に使用する割合によって控除額が変わったり対象から外れたりする可能性があります。

オーナーが商業用としての物件利用を禁止する理由

居住用の物件として登記している場合は家賃に消費税がかかりません。しかし、オフィスや事務所として使用する場合には別途消費税が加算され、同時に固定資産税の金額にも変更が及びます。また、居住用から事務所の利用への変更手続きにも費用が発生するため、多くの物件所有オーナーは禁止としています。

かなこ
かなこ

一人暮らしの女性などはプライバシーの面で少し不安があるかもしれませんね。

賃貸オフィス

メリット

日本では多くの会社が賃貸オフィスを使用しています。その背景には、賃貸オフィスの物件数が多く、選択肢の幅が広いことが考えられます。
また、元よりオフィス利用を目的としているため会社の所在地として設置しやすいです。
自社が専有する広いオフィスがあることで信頼が得やすいため、大企業とのBtoBでの取引が多い会社にとっては、メリットになりますね。

デメリット

敷金・礼金・保証金・仲介手数料・内装費・オフィス器具などが初期費用が発生するため、多額の資金を確保しておく必要があります。
契約期間も2年間以上に設定されていることが多く、十分な資金がないと貸してもらえないオフィスもあります。設立段階にある会社や起業したての会社は審査が通りにくいと言えるでしょう。

レンタルオフィス

メリット

賃貸オフィスよりも初期費用が抑えることができます。
また、短期での契約が可能なレンタルオフィスが多いです。賃貸オフィスに比べると、ベンチャーやスタートアップなどの起業してから間もない会社や、これから起業予定の方でも審査が通りやすいと言えるでしょう。
物理的な個室のオフィスとなるので、士業をはじめとする事務所の設置要件のある業種でも登記が可能です。

デメリット

レンタルオフィスの運営会社が廃業するなど、自社以外の都合で移転が余儀なくされることがあります。
また、レンタルオフィスの中には住所利用はできても、法人登記はできないケースもあります。契約の際には必ず確認をしましょう。

バーチャルオフィス

メリット

実体を持たないオフィスとなるので、初期費用がほとんどかかりません。入居の必要がないため手続きもスピーディーに完了します。
そしてバーチャルオフィスの多くは法人登記も可能としています。そのため、都内の一等地の住所を本店所在地として名刺やWEBサイトに記載することができます。
作業をする場所は必要ないけれども、社会的信用を上げたい方などにはオススメです。

デメリット

実体のある事務所の設置要件がある場合は許認可が取得ができません。
また稀ではありますが、共有している別の会社が事件などを起こしたり、住所が犯罪に使用されたりした場合に住所としての信頼度が下がってしまうことがあります。

会社設立に許認可が必要となる業種

事務所の設置要件等のオフィス選びに関係する許認可が必要な業種を、一部ご紹介します。
他にも特殊な要件を必要とする業種がありますので、必ず確認してからオフィスの選定をしましょう。

  • 士業(税理士、司法書士、弁護士など)
  • 職業紹介事業
  • 探偵業
  • 建設業
  • 不動産業

※複数の条件を設けている職種もありますので、登記前に必ず確認しましょう。

かなこ
かなこ

登記先となるオフィスに目処は立ちましたか?次に、実際の登記手順を確認しておきましょう。

登記書類を記載している人

実際の登記手順

1.会社設立の準備
会社概要や事業目的を設定をします。
事業目的は誰が見ても分かるような、明確な目的を提示する必要があります。
商号が決まったら、印鑑の作成を行い印鑑証明の発行をしましょう。

2.定款の作成と認証
定款を必ず作成する必要があります。
さらに株式会社・一般社団法人・一般財団法人の場合は、公証役場へ持っていき認証を行う必要があります。

3.資本金の払い込み
法人登記には出資金の払込証明書が必要です。
法人口座は登記が完了した後でなければ作成ができません。そのため、会社の発起人名義の口座に振り込むことになります。

4.登記書類の作成
必要となる書類やフォーマットは、設立する会社の形態によって異なります。
法務局のホームページなどで事前に確認をした上で手配しましょう。

5.会社設立の登記申請
法務局へ申請を行います。申請先は会社の本店所在地を管轄する法務局となりますので、確認をしましょう。提出方法は主に以下の3つがあります。

・オンラインでの提出
・郵送による提出
・法務局の窓口へ直接提出

登記申請書を提出した日が会社の設立日となります。
※郵送で法務局へ提出した場合は到着日が設立日となります。

参考:法務局ホームページ、商業・法人登記手続

かなこ
かなこ

ところで、登記には本店所在地の記載が必要ですよね。
しかし、どこかにオフィスを借りる場合は登記前であるため法人名義では借りることができません。どうしたら良いのでしょうか?

オフィスの契約が先か、登記が先か

オフィス契約が先の場合

個人として契約 → 登記 → 法人契約に切り替え

一般的には登記前にオフィス契約を済ましてしまうことがほとんどです。なぜなら、登記データに無駄な修正を加える必要がないからです。登記する住所の重要性の項目でもお話ししたように、住所は社会的信用やプライバシーに関わってくる場合があるので慎重な登録が望ましいです。
ただ、会社設立前は契約の審査が非常に厳しいことも考えられます。レンタルオフィスであれば同様の事例を多く扱っている可能性が高く、比較的登記前でも契約しやすいと言えるでしょう。
また、個人契約の場合は、連帯保証人として別の方を立てるか保証会社を用意する必要があるので事前に見当をつけておく必要があります。
※オフィスのオーナーまたは仲介業者との交渉が不可欠ですので、必ず事前に伝えましょう。

会社設立登記が先の場合

登記 → 法人として契約 → 登記の本店所在地の変更

先に登記をする場合は、本店所在地として一時的に自宅などの住所を記載します。そして、オフィスを契約後に登記した住所の変更を行います。この場合は、登記後に落ち着いてオフィスを選定をすることが可能です。
また、法人として契約する場合は代理者個人が連帯保証人となることができるため、代表者一人で契約を完結させることができます。
しかし、登記の変更には手数料として3万円がかかります。また登記データは消えないため、住所を変更した後でも一時的に決めた住所がデータとして残り続けてしまいます。

まとめ

  • 登記簿は会社を表す重要な書類です。記載される本店所在地の住所は身慎重に選びましょう。
  • 自分の事業に特別な許認可が必要ないか、必ず確認しましょう。
  • 登記申請とオフィスの契約の順番はあらかじめ決めておきましょう。
かなこ
かなこ

ぜひ今回ご紹介したポイントを参考に、すてきなオフィス選びをしてくださいね!

©RJ OFFICE