自律型組織とは?種類・作り方・デメリットなどを徹底解説!filter自律型組織とは?種類・作り方・デメリットなどを徹底解説!

自律型組織とは?種類・作り方・デメリットなどを徹底解説!

「自律型組織ってどんな組織なんだろ?言葉は聞いたことあるけど、具体的なメリットやデメリットなどの詳細を知りたい。実際に作るにはどうすればいいのかも知りたい。」こんな悩みを持つ方向けに、自律型組織についてまとめてみました。

当記事では、自律型組織の基本から、注目される理由、種類、メリット・デメリット、作り方、事例を解説していきます。自律型組織は、これまでの組織の構造とは違うメリットが多くあり、これからの時代にマッチした組織とも言えますので、参考にしてみてください。

自律型組織とは?

会議をしている様子

自律型組織とは、権限や責任が役職に集中せず、分散されたチームや社員の意思決定により業務が進められる組織です。また、上下関係がフラットであり自律度が高い特徴があります。この自律型組織は「フラットに対話や協働できる環境」「自律性の高いチームや社員」「迅速に対応できる仕組み」という、3つの要素によって成り立っています。チームや社員が主体になって、様々な業務の予算や明確な方法などを決定することで、それぞれが自らの意思で組織を動かしていけます。ここまで、社員の裁量に任されている組織であれば、自律型組織と言えるでしょう。

ただし、単にフラットな組織にするだけでは逆効果になってしまいます。
いくら役職が存在しないとは言え、ある程度のチーム作りや個々の能力に合った権限を設定するなど、ルールは必要になります。
そうした活動の中で、自然に認められるリーダーが誕生し、他の社員を引っ張っていくことは非常に良い環境を生み出します。
ですから、必ずしも完全にフラットではいけないということはありません。

階層型組織との違い

階層型組織は、これまでの組織形態として広く採用されています。権限と責任を持つ役職を企業のトップに置き、トップや役員クラスの上層部が意思決定をします。その決定が下位の役職や社員へ伝わり、実行されるトップダウン方式となっています。「責任の所在や昇進の流れが分かりやすい」などのメリットがある一方で、役職の階層が多いため「意思決定までの時間がかかったり、市場の変化などに素早く柔軟に対応しづらい」などのデメリットがあります。

自律型組織は、トップダウン方式とは真逆です。一部の役職で意思決定するのではなく、チームや社員の裁量で意思決定をすることができます。責任や権限が分散していると言えます。トップがいなくてもビジネスを成長させることができる柔軟な組織形態と言えます。下位から上層部に意思決定が伝わる「ボトムアップ方式」に近いものがあります。「意思決定が早く、変化にも柔軟に対応していける」などのメリットがある一方で、新しい組織形態のため「構築や認知に時間がかかったり、フラットな環境下での評価がしづらい」などのデメリットもあります。これらに関しては、後ほど詳細に解説していきます。

自律型組織が注目される理由

自律型組織が注目されている理由は、ウィズコロナによる影響が大きいと言えます。これまでの働き方が大きく変化し、テレワークが広く普及するようになりました。テレワークには様々なメリットがある中で、テレワークならではのデメリットもあります。社員が自宅やレンタルオフィスなどで業務をおこなうため、会社や上司との距離が遠くなったことでモチベーション低下が懸念されています。会社にいることでアピールできる部分や、上司が見ているという緊張感などが減少してしまうからです。そこで、自律型組織に注目が集まります。導入すれば、それぞれに権限と責任を与えて自律させることで、モチベーション維持につながりやすくなります。

さらに、ウィズコロナなどのイレギュラーな事態においては、意思決定の速さによる臨機応変な対応も求められます。階層型組織では、意思決定が下されて実行されるまでに時間がかかってしまうでしょう。ですから、社員それぞれに自律させて責任と権限を与えることで、現場で検討して実行できるという「速さ」と「臨機応変さ」が生まれます。テレワークがアフターコロナでも定着する可能性が高いことからも、自律型組織の必要性は今後も注目されていくでしょう。

自律型組織の種類

自律型組織には3つの種類が存在しますので、それぞれ解説します。

アジャイル組織

「To Do」「Doing」「Done」と書かれた付箋が、階段状に並べられている

アジャイル組織は「アジャイル(素早い・俊敏な)」と言われるだけあり、チームや社員それぞれに権限を与えることで素早い意思決定や、業務の実行ができる組織です。上下関係のない、フラットな集合体として捉えられています。また、常に変化するビジネスの現場では、素早い意思決定と臨機応変な対応が求められるため、アジャイル組織は有効でしょう。チームや社員で明確な目標を共有していることもあり、方向性がブレにくい組織でもあります。

ティール組織

ティール組織は、アメリカの大手コンサルティング会社の組織改革に関わった、フレデリック・ラルー氏により提唱されました。会社に関わる全ての人が、それぞれ自律して決定をおこない、目標に向かい進んでいきます。ティール組織では、組織の進化を「衝動型・順応型・達成型・多元型・進化型」の5段階で分類しています。ティール組織も指示系統がなく、上下関係のないフラットな組織となっています。

ホクラシー組織

ホクラシー組織は、ホクラシー憲法というルールや流れに沿っているのが特徴です。ラスベガスにある通販会社「ザッポス・ドットコム」が、このホクラシー組織を導入しています。この組織でも、役職を必要としないフラットな上下関係、個々に権限を分散して自律した意思決定がおこなえるようになっています。急激な変化でも意思決定スピードが早く、臨機応変に対応することも可能です。

自律型組織のメリット

自律型組織では様々なメリットがありますので、それぞれ解説します。

管理する手間が減る

自律型組織では、下層の社員を管理する役職を必要としません。チームや社員がそれぞれに権限を持ち、意思決定できる環境にいるからです。業務をおこなうなかで、自然とリーダーとなる社員が現れることはありますが、権限に関してはフラットな環境です。ですから、自律した組織の中では、従来の役職が担う管理の手間や負担がなくなります。

個性を活かすことができる

個々の個性を活かせるのが自律型組織です。個々に権限が与えられているため、それぞれのチームや社員の中で自分の意見を通しやすかったり、権限をもとに業務をおこなえる環境だからです。従来の階層型組織ではトップダウン方式となっており、下層の社員が考えたとしても、上層部に却下されれば実現することができません。ですから、個々に権限が与えられている自律型組織では、個性を最大限に発揮して業務を進めることが可能です。

意思決定スピードが早い

チームや社員がそれぞれ権限を持ち自律している自律型組織では、階層型組織のように「上層部からの意思決定を待つ必要がない」ため、現場で意思決定することができます。そのため、意思決定スピードが早いのが魅力です。意思決定スピードが早ければ、市場の変化に素早く対応できるため、ビジネスチャンスを拡大するチャンスが得られやすいです。

業務効率が向上する

フラットで上下関係のない組織のため、上層部からの決定を待つ必要がありません。現場で判断して実行できるため、指示を待って決定する時間を短縮することができます。特に変化の激しいIT業界では、自律型組織を形成することで業務効率がアップしやすくなります。臨機応変に現場で判断が下せて、実行できるというのは大きなメリットになります。各チームや社員が責任を持って取り組んでいるため、仕事の「速さ」と「質の高さ」が期待できます。

テレワークを実施しやすい

自宅で仕事をしている様子

テレワークは、会社や上司から離れた自宅やレンタルオフィスなどで、業務をおこなうことになります。つまり、常に会社や上司に管理されているという訳ではありません。こうした環境下では自律心が最も重要であり、自律型組織の形態は適していると言えるでしょう。チームや社員が目的を明確にした上で共有し、各々の権限において業務を遂行することができます。さらに、イレギュラーな事態にも臨機応変に対処できることから、変化の激しいウィズコロナだからこそ構築したい組織です。

自律型組織のデメリット

自律型組織では様々なデメリットがありますので、それぞれ解説します。

評価がしづらい

チームや社員が主体となる自律型組織では、それぞれの権限や裁量で業務を遂行していくことができます。そのため基準となる評価制度が、それぞれで異なるため評価がしづらいです。統一された評価基準がない環境では、評価に対して「格差」が生まれる可能性があります。評価はモチベーションの維持に直結するため、評価基準を整えることが重要です。もちろん、各チームや社員の裁量による評価も取り入れながら、必要最低限の基準を設けておくことをオススメします。

構築に手間と時間がかかる

階層型組織では、上層部の指示のもとに業務を遂行する進め方が定着しており、指示を待つスタイルが一般的です。自律型組織では、各チームや社員が権限を持ち「自律した意思決定」をし、業務を進めるスタイルです。従来の階層型組織に慣れている社員にとっては、これまでとは違い自律した業務の進め方が求められるため、教育に時間がかかります。0から自律型組織を作る際には、自律心の高い人材を確保すれば構築するのは比較的、容易になるでしょう。ですが、階層型組織から自律型組織へと改革する場合には、仕組み構築や人材育成に手間と時間がかかります。事前に綿密な計画を立てておくことが、必要になります。

情報の一元化や共有が難しくなる

チームや社員で自律した業務をおこなえるため、個別の意思決定がされます。会社全体で情報共有できる仕組みがなければ、全体的に各チームや社員の情報を把握しづらくなります。これは規模が大きくなるほど、意思決定などの数も増えていくため、より把握しづらくなるでしょう。情報が分散してしまうことは、混乱を招く原因にもなります。ですから、共有するためのツールを導入し、オンライン上で常に目標や意思決定が把握できるような環境を作っておくことが大切です。

自律型組織の作り方

自律型組織は、5つのポイントを意識することで作ることができます。

1.作る目的を明確にする

様々なメリットがある自律型組織ですが、明確な目的もなく作ることは得策ではありません。従来の階層型組織から何のために改革し、どうなりたいのかを明確に定めておかないと、逆に組織構築が負担になる可能性があります。自律型組織を構築するためには、人材育成や環境構築に時間がかかるためです。

2.根本的なビジョンの共有

チームや社員が、それぞれの権限のもとに業務を進めることができますが、時には意思決定に迷ってしまうこともあるでしょう。そんな時に、周りにアドバイスを求めようとしても、バラバラのビジョンばかりでは難しいです。根本的なビジョンを設定していれば、迷ってもビジョンに沿って業務を進めることができます。

3.ガバナンスを構築する

フラットな組織で個々に意思決定権があるとはいえ、基準となるルールや行動基準の指標になるガバナンスの構築が必要です。自律型組織のような自由な組織では、様々なアイデアや業務の進め方が生まれますが、自由奔放過ぎれば逆にまとまりがなくなります。必要最低限は設定しておくべきです。

4.定期的なサポートをおこなう

手を取り合って助け合っている様子

いきなり完璧に自律した組織を作り上げるのは至難の業ですので、自律的行動ができるようにサポートをおこないましょう。自らの意思で目標を設定をさせて目標の進捗度などを、定期的な1on1(1対1のミーティング)で継続的なサポートをします。

5.情報共有の環境を構築する

各チームや社員に権限が与えられており、フラットな組織である一方で、それぞれに意思決定をおこなうのが自律型組織です。そのため、常にそれらの情報を共有できる環境がなければ、すれ違いや混乱が生じる可能性があります。オンラインツールなどを用いて、常に誰もが情報共有して確認できる環境を構築しましょう。

自律型組織を理解して有効活用しよう

複数人で談笑している様子

自律型組織は、上下関係のないフラットな環境であり、各チームや社員それぞれに権限があり意思決定をすることができます。IT業界などの変化の激しい業界はもちろん、ウィズコロナのようなイレギュラーな事態にも適しています。構築するには時間も労力もかかりますが、柔軟で変化に強い組織はアフターコロナでも必要とされるでしょう。ですから、今回の記事で自律型組織について理解して頂き、今後に有効活用して頂ければ幸いです。

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