シード期とは?アーリー期やシリーズAなど解説!資金調達方法もご紹介!filterシード期とは?アーリー期やシリーズAなど解説!資金調達方法もご紹介!

シード期とは?アーリー期やシリーズAなど解説!資金調達方法もご紹介!

ベンチャー企業で大切なシード期とは?

ベンチャー企業で大切なシード期とは?

ベンチャー企業におけるシード期は、起業する前の「準備段階」の時期です。主な内容は事業計画の立案、ビジネスアイデアを事業化するための調査や分析、製品を形にするための研究開発などをおこなっている段階です。この段階では、正式に事業が形になっていないため、事業としての収益が見込めない時期でもあります。さらに、市場調査費や研究開発費、人件費やオフィス費用など、様々なコストが必要になるため赤字になる可能性が高いです。

ベンチャー企業には、4つの「成長フェーズ」「投資ラウンド」と呼ばれる段階があります。基本的な部分になりますので、この機会に解説しておきます。

4つの成長フェーズと投資ラウンド

ベンチャー企業には、主に4つの「成長フェーズ(企業の成長段階を表す言葉)」と「投資ラウンド(投資する段階を表す言葉)」が存在します。

成長フェーズは「シード期・アーリー期・ミドル期・レイター期」に分かれ、投資ラウンドは主に「シードラウンド・シリーズA・シリーズB・シリーズC」に分かれます。これらは、メディアによって4つや5つに分かれたり、表記が違うものの基本的には同じような意味合いで認識されています。今回は、それぞれ4つに分けて解説していきます。

シード期とシードラウンド

シード期は、すでに解説しているとおり、起業する前の準備段階です。ビジネスプランを作成し、事業を進めるための商品開発など、起業に向けて本格的に準備する時期です。この時点では、収益源となる仕組みや商品などがないため、赤字の状態が続く可能性があります。ですが、ここが今後の将来を決めるスタート地点であり、今後の土台となる重要な段階です。

シードラウンドは起業段階前であり、実績も信用もない状態です。そのため資金調達方法が限られてきます。事業化させるために必要な商品開発費などのコストもかかってくるため、限られた中でいかに資金調達できるかが鍵になります。この段階では、大きな金額を借り入れることが難しいため、資金調達の金額は数百万円ほどが一般的です。

アーリー期とシリーズA(エクスパンション)

アーリー期は、これまで準備してきた事業計画や商品・サービスを元に、実際に起業する段階です。この段階でようやく「スタートアップ」と呼ばれます。この時期では、シード期よりもコストが更に増えていきます。会社設立費用に始まり、運転資金、設備投資、マーケティング費用など事業を認知、拡大させるために必要になるためです。アーリー期は、認知度の広がり方や、挑戦している市場の勢いによって変化します。売上が徐々に上がりつつありますが、まだまだ収益性が低い時期なので赤字が続く可能性が高いです。

シリーズAは、エクスパンション(拡大・拡張という意味)とも言います。起業して徐々に拡大していく時期です。徐々に認知度や信用度が上がっていきますが、まだまだ低いことは認識しなければいけません。シード期よりは資金調達の選択肢が人がるものの、まだまだ実績が乏しいため限定されます。さらにコストが増えることで、資金繰りにも悩むことが多くなる可能性が高いです。最悪の場合は、この段階で倒産する可能性もあるため、資金調達に全力を注ぐことが大切になります。この時点では数千万~という資金が必要になってくるため、資金調達の重要性が高まります。

ミドル期とシリーズB(グロース)

ミドル期は、アーリー期で作ってきた会社の土台を、さらに成長させる段階です。自社の製品やサービスが市場で認知され始め、売上や認知度が一気に上がっていきます。とはいっても、まだまだ安定とは言えません。ですから、これまで以上に多くの資金を投入して優秀な人材確保や、製品やサービスのマーケティングに力を注ぐ必要があります。コストがさらに増えますが、その分だけ大きく成長できる時期です。

シリーズBは、グロース(成長)とも言います。市場に自社の名前や製品・サービスが浸透し始め売上が上がってきているため、資金調達の選択肢が広がり、調達できる金額も数億円~という大きなステージへ上がります。ですから、シリーズBは一気に成長させる上で、非常に大切な投資ラウンドです。資金調達の金額が大きくなるため、資金計画を綿密に立てることや、複数の調達先を考える必要があります。

レイター期とシリーズC

レイター期は、ミドル期で成長させた事業や会社を、さらに安定的に拡大していく段階です。ここまで成長できれば、知名度も信用もかなり高くなっており、株式上場を目指すことも可能になります。この時期は、これまでの苦しい経営状況からは脱却して黒字化していること多く、さらに拡大させるための新規事業などにも、力を注ぐことができるようになります。

シリーズCは、ベンチャー企業の最終段階とも言える時期です。新規事業や海外進出など、これまで以上に安定や成長を求めた場合には、プラン次第で数十億円~といった大きな資金が必要になります。ただ、この段階では実績も信用も十分なため、資金調達方法の幅が広がり、これまで以上に資金調達がしやすくなっているでしょう。調達できる資金も、これまで以上に大きな金額が期待できます。

エグジット

エグジットとは、レイター期やシリーズC以降に、ベンチャー企業が最終的に目指す目標のことを指します。エグジットは主に「株式上場」と「M&A(事業売却)」の2つがあります。

株式上場は、これまで購入できなかった一般投資家にも、自社株を公開することで購入してもらうことができます。会社の知名度や信用度が、これまで以上にアップするため、より大きな資金調達や売上が期待できます。知名度がアップすれば、より優秀な人材の確保もしやすくなり、より強固な会社へと成長していけます。さらに、ストックオプション(自社株を決められた価格で経営者や社員が購入できる制度)によって株を取得していた場合、株式上場で大きなリターンを得られる可能性があります。株式上場は簡単にできることではないため、上場を目指して長期に渡る事前準備をしなければいけません。

M&Aは、他の企業に対して事業を売却することであり、成功すれば大きなリターンを得ることができます。これまでの投資資金を一気に回収して、さらにプラスの利益を出せる可能性も十分あります。実際に、M&Aで大きな売却益を得た事例は多いです。事業を売却すると自身は経営から退くものの、従業員を解雇することなく会社を存続させることが可能です。ただ、思ったように買い手の企業が見つからない場合もありますし、条件次第では不利なM&Aになる場合もあります。ですから、M&Aの際には買い手の企業であったり、契約条件をしっかり確認しながら、進める必要があります。

成長フェーズ別における資金調達方法

成長フェーズ別における資金調達方法

「成長フェーズ」と「投資ラウンド」を理解したところで、成長フェーズ別の資金調達方法を、それぞれご紹介します。フェーズ次第で資金調達の選択肢が変化するため、状況に応じた調達方法を理解しておくことをオススメします。

シード期の資金調達方法

シード期に必要な資金は、数百万円ほどになります。ただし、実績も信用もないため資金調達方法は限られます。その中でも、有効な方法をご紹介します。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、積極的に起業家向けの支援をおこなっている政府系金融機関です。事業を開始して間もない事業者向けの「新創業融資制度」という支援制度があります。融資上限は3,000万円(運転資金1,500万円)となっており、原則、無担保・無保証で借入することが可能なため、実績などがなくても融資を受けやすいです。ただし、事業に必要な金額の10分の1以上の自己資金や、事業計画書の提出が必要になります。自己資金の用意もさることながら、審査に通過するための事業計画書をしっかり作成しましょう。

エンジェル投資家

エンジェル投資家は、個人として将来性のあるスタートアップやベンチャー企業に対して出資をし、株式上場やM&Aで得られた利益を得る個人投資家です。あくまで「出資」になるため返済義務がありません。エンジェル投資家の出資条件は、金融機関のように明確な基準があるわけではなく、それぞれの基準による部分が多いです。将来性や事業計画を重視する方もいれば、それ以上に起業家の熱意や人柄を重視する方もいるようです。シード期であることから、投資金額自体は少額になるものの、通常の金融機関よりも出資の決定が早いこともあります。さらに、会社を売却した元経営者である場合も多く、経営に対するアドバイスなどをもらえる可能性があります。様々なメリットがありますが、中には条件面で厳しい部分が提示されることもあるため、自社の状況に合うエンジェル投資家を探す必要があります。探す際は、ピッチコンテストやマッチングサイト、SNSなどを活用するといいでしょう。

自己資金+家族や知人からの借入

リスクを減らして資金を用意する方法としては、借りれをせずに自己資金で用意する方法があります。シード期に必要な資金の多くは数百万円ほどになりますので、この金額であれば人によっては自己資金でも用意できる金額です。借入をせずに事業を始められるという点では有利になりますが、手元に全く資金がない状態は不安です。自己資金をある程度は残しつつ、家族や知人などに借りれる方法もあります。しっかりと借入条件や契約書を交わしておくことが大切です。親しい仲であっても、お金が絡むことでトラブルになるケースは多いため、お互いのためにも曖昧な借入は避けたほうがいいでしょう。

アーリー期の資金調達方法

アーリー期に必要な資金は、数千万円ほどになります。この段階では、実際に起業することになるため、運転資金や設備投資、事業を広く認知させるためのマーケティングなどに資金が必要になります。シード期にご紹介した方法に加え、さらに有効な方法をご紹介します。

VC(ベンチャーキャピタル)

VC(ベンチャーキャピタル)は、複数の投資家から資金を集めて、その資金を運用して投資家に還元する投資会社です。こちらも返済義務はありません。VCもエンジェル投資家同様に、将来性のあるスタートアップやベンチャーに対して投資をする代わりに、株式を取得して上場やM&Aによる売却益を狙います。エンジェル投資家よりも、複数の投資家から資金を集めて運用しているため、大きな金額を出資してもらえます。VCもエンジェル投資家同様に、ピッチコンテストなどのイベントへの参加、インターネットで検索、知人からの紹介などで探すことができます。VCも出資に対するリターンを得るため、事業に対する経営支援もおこなっています。ただし、条件などで不利な条件になる場合もあるため、しっかりと確認しながら契約をおこないましょう。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、事業をおこなうために必要な運転資金や商品開発費などを、個人や法人からオンライン上で出資を募ることができる方法です。クラウドファンディング業者に登録をして、そこで自社のサービスや商品をアピールします。そして、出資者へのリターンとして自社製品やサービスなどを提供する、近年増えてきた資金調達方法です。成功すれば目標金額以上の大きな資金が集められる一方で、失敗すれば必要な資金が集まらない可能性があります。おこなう際には、クラウドファンディングのサポートをしている専門家がいますので、そういった方に相談して成功させられるようにアドバイスをもらうのがいいでしょう。

ミドル期の資金調達方法

ミドル期に必要な資金は、数億円ほどになります。この段階では、会社の土台が固まりつつあり、実績や信用も上がってきている段階です。ここでも、金額面や返済義務のないVCを活用していく以外に、その他の有効な方法をご紹介します。

銀行融資

都市銀行や地方銀行、信用金庫などの融資を検討できる時期です。ミドル期は、ある程度の売上が出始めており、会社の認知度や信用度も上がっている段階です。とは言え、初めての銀行融資ともなれば、銀行側もリスクを考えて信用保証協会を通じての融資になることもあります。ただし、融資が実行されるとなれば、大きな資金調達をおこなうことが可能なため、事業拡大を効率よくおこなうことができるでしょう。

レイター期の資金調達方法

レイター期で必要な資金は、数十億円ほどになります。会社の知名度や実績、安定性などから見ても株式上場を狙える段階であり、どの資金調達方法でも有利な状態です。ですが、その中でも返済義務がなく、多くの資金を集められるVCを検討するのがいいでしょう。

シード期を理解して乗り越えよう

シード期を理解して乗り越えよう

シード期はベンチャー企業にとって、事業を始める前の準備段階の時期です。全ての土台となる時期であり、ここをうまく乗り切ることで次のフェーズへいくことができます。そのためには、着実に事業を拡大させなければいけません。事業を拡大させるためには、多額の資金が必要となります。資金調達は重要ですから簡単な仕事ではありません。ですから、今回ご紹介した資金調達方法を参考にして頂き、効率よくシード期を乗り越えて会社を成長させていきましょう。

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